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2話目 教会の建立は私に任せなさい、格安で請け負うわよ

「取り敢えず、宿泊施設の基礎工事と外枠を作っちゃいましょうか。」

「えっ、そんなに簡単にできちゃうの。」

「土魔法でちょちょいと。堤防工事や開墾工事に比べれば簡単よ。」

「簡単よって言うけど、間取りとかはどうするの。図面とかは引かなくてもいいの。」


「あっ、そんな面倒なことはやってらんないわよ。」

「面倒とか言って、適当に作って、すぐに崩れたりしないでしょうね。

ここは雪も降るし、風も強いし、特一風見鶏の村の集会場よりもかなりしっかりと立てないと。」


「大丈夫、大丈夫。任せて。こう見えても旅団の宿舎建設係なんだから。

一般軍人の宿舎から王室ご用達豪華ホテルまで立てた宿舎の数は両手で数えてもも足りないわよ。」


「王族のための豪華ホテルまで、すごいわね越後屋さん。お土産売りを止めて、建築業者の方が儲かるんじゃないの。」

「甘いわね、次席司祭候補生。」

「だから私は守銭奴教なんかに興味はないと言っているじゃない。」


「まぁまぁ、口ではそうは言ってても、もうすでに心は十分に守銭奴教を求めているわよ、間違いなく。」

「いゃぁぁぁぁ、やめてぇぇぇぇ、そんなもに入ったら一生お嫁にいけない。」

「嫁には行けないけど、婿候補はわんさか寄ってくるわよ。ここでの事業が成功したら。」

「えっ、どういうこと。」


「世の中の皆は口では守銭奴とか言って蔑むけど、間違いなく皆はお金が欲しいのよねぇ。

でもそんな奴らのためにせっかく稼いだ自分のお金を持って、嫁になんて行きたくないでしょ。

特に甲斐性なしのエルフ男若衆へのところなんて。」


「まぁ、そうねぇ、自分で稼いだ金を甲斐性なしの男のために貢いだりしたくないわね。」


「だから、嫁に行くのは諦めなよ。

でも、婿だったら、お金に群がってきた男をこき使えるから、自分のお金の最小限をその男に投資としてあてがって、それ以上のもうけを出せばいいから。

稼げなかった男は別の奴と替えればいいから。

と言うことで、婿に関してはより取り見取りね。」


「そっかぁ、守銭奴教って奥が深いのね。

言葉の響きだけで判断してはいけないってことね。

金と男が自由になるのかぁ、私も入信してみようかしら。」


「まぁ、取り敢えずはしばらくは仮入信でもいいわよ。

いつでもやめて良いし、教団内では変な物を売りつけたりしないから。」

「わかったわ、取り敢えず仮信徒でお願いします。」


「えっと、続けるわね。

なぜ建築業でなく、お土産売りを目指すのかだったわね。」


「えっと、呼び方は司祭様でいいのかな。」

「最高司祭でお願いします。」

「わかりました。最高司祭様、建築業の方が儲けが大きいと思います。

特にエルフ領では土属性魔法術士なんていないし。」


「ふっ、甘いわね。」

「私の提案は"ふっ"程度なのでしょうか。」


「あっ、ごめんね、まだ仮信徒だもんね。

私は信徒には優しいわよ。説明するわね。」

「よろしくお願いします。

立派な信徒になるためにも、守銭奴教の考え方、ものの見方を学んでいきたいと思います。」

「なかなか良い心掛けね、そのまま修行を続けて行けば来週にでも初級司祭、その次の週は司祭まで登り詰められそうね。」

「頑張ります。」


「まずは建築業はこのエルフ領でしか成り立たないわ。

人類領では土魔法を使える者が、一回で大きな建物は作れないけど、一般人でもいるから。

ごくありふれた職業で供給過多なのよ。

確かに、エルフ領では重宝されると思うけど、どこに仕事があるかわからないのよねぇ。

私がこんなことが出来るなんてのも知らないだろうし。」


「つまり、働く機会がないということですか。」


「まぁ、それが一番の理由ね。

あとは個々の案件で大きさとか間取りとかが違うとなると結構話し合いなんかが長くて、その間は無給でしょ。

一回の儲けはでかいけど、儲けるまでに時間が掛かるのよね。

そう考えるとエルフ領に基盤のない私は、そう言う大掛かりな仕事は不向きなのよ。」


「なるほど、ではお土産の売り子さんのメリットとは何ですか。」

「まずは初期投資が小さくて、すぐに儲けが出ることかな。額は少ないけど。

それにエルフ領だけでなく人類領でも儲けることが出来ることね。」


「あっ、そうか。エルフ領には人類領の物を販売し、人類領にはエルフ領の物を販売するということですね。

どちらも最高司祭様にしか販売ルートを確立できないので、かなり珍しいものになりますね。

言い値で売れますね、確かにぼったくりのぼろもうけ。」


「それでもどんなものが喜ばれるかわからないから、初期投資の一部は儲けがないかも。

食べ物だったら廃棄もあり得るし。」

「なるほど、できるだけ初期投資額が少なく、その回収が早くて、独占事業で、需要のすそ野が広い。

それがお土産の売り子さんなんですね。」

「そうなのよ。」


「あっ、でも人類領とエルフ領が行き来できるようになったことは人類側では秘密なんですよね。

エルフ領ではあっという間にうわさが広がってしまって、知らないのは棺桶に片足突っ込んだじいさん・婆さんと外を走り回っている鼻たれ小僧だけだと言われています。」


「誰も販売する物がエルフ製だとは言ってないわよ。

まぁ、それを言わないとプレミアがつかないけれどね。

でも、逆にエルフ領の物だと言わなければ購入層の嗜好と言うものがわかるかもね。

はやりでなく本当に人類領で売れるエルフ特産物は何かと。


う~ん、仕入れに失敗する可能性もあるわね。

まずは人類領のお土産を販売して、その儲けで、徐々にエルフ領の物を売る方に投資をしていきましょうか。」

「そうですね、まずはエルフ領にある特産物となり得るものを探した方がいいですね。」


「ちょっと待って、人類領のお土産の仕入れに一緒に行ってもらうんだけど、その仕入れ先でいろいろ商品を見て覚えてもらえるかなぁ。

それと被らないエルフ領の特産品をいくつか提案してくれるかしら。

何ならマドリンだっけ、この近くの町でもお土産を物色してきてもいいわよ。

次に人類領に仕入れに行くときは、マドリンで仕入れたものを見てもらって、人類の仕入れ先でほしがるものがあったら、それを人類領に流通させるのがいいかもね。」


「なるほど、エルフ領の特産品の仕入れ担当を私がやる言うことですね。

でもそんな、大役が務まるかしら。」

「大丈夫。あなたならできる。

できると思って挑戦して。

当面は私が資金を出すわ。

後々はお土産販売の儲けで仕入れていってね。」


「わかりました、頑張ってみます。

やりもしなうちから、できないなんて言えないですものね。」

「そうそう、儲かったお金でここに守銭奴教の教会を立てるつもりで頑張ってね。」


「わかりました、頑張って、教会を建立します。

・・・・・・、でも、それって最高司祭であれば今日にで建立できるんじゃぁ。」

「そんなことに私の土魔法は使えないわ。

私は越後屋ショッピングパークを増設していくという役目があるの。

お布施で、運営費用も賄えるかわからないものを今作る必要はないわ。」


「そうですね、守銭奴教の教会は儲かったらそれで作りましょう。」

「その時は私を呼んでね、格安で作ってあげるから。」

「えっ、・・・・・・・・・汗汗汗」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の外伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語では越後屋さんとアラナちゃんの風の聖地突風待機施設の建設物語を楽しみください。

また、この物語は今後の展開とあまり関係がありません。

ゆるりとした気持ち、生暖かい目で見守ってあげてくださいね。


今日から1日1話更新予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


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