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アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記 1話目 良いこと、私は守銭奴教徒なんだから、決して悪徳商人じゃないわよ

この物語「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の外伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つの「 アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」は駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語では越後屋さんとアラナちゃんの風の聖地突風待機施設の建設物語を楽しみください。

また、この物語は今後の展開とあまり関係がありません。

ゆるりとした気持ち、生暖かい目で見守ってあげてくださいね。


今日から1日1話更新予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「アラナの細腕繁盛記 越後屋の守銭奴教繁盛記」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


ついにこの日が来たのね。

ついにこの地に来たのね。


私は風の聖地の近くにあるという、風の聖地突風待機施設(仮小屋)にやって来た。

ここが私の初めてのお店を開く場所。

まだ、転移魔方陣、エルフ領では風見鶏と言うんだっけ、を設置した丸太小屋と作業員が寝泊まりするテント、そして、集会場らしきちょっと大きめの小屋。

タイさんは前に来たよりも立派になっていると言うが、私から言わせれば野戦キャンプ地ね。


まぁ、今はこれで良いの。これら一大複合商業施設にして見せるわよ。

名前は既に考えてあるの。この話をもらった時から。


"越後屋ショッピングパーク"


いい響きね。

もう一度、今度は声に出して行ってみようか。


「越後屋ショッピングパークにようこそ。」

良い、良い響き。


「アイラさんも言ってみようよ。さぁ、越後屋ショッピングパークにようこそ。」


「越後屋さん、そのショッピングパークってのは何ですか。

目の前にあるのは、風見鶏の小屋と集会場、おそらく食堂と休憩室ね、それとテントがいくつか。

ショッピングパークと言うものが具体的にどういうものを言うのか知らないけど、少なくても目の前の状況とはかけ離れているぐらいは想像がつくわよ。」


「もう、アラナちゃんたらいけずなんだから。

イメージよ、イメージ。

こういうものにしていきたいという、イメージがなければ、ここはこのままよ。

きっとテントが増えるだけの、野戦病院と化すのよ。」


「イメージが大事なのにはわかるけど・・・・、まぁいいわ、そのショッピングパークの具体的な構想を聞かせてもらえるかしら。」

「聞きたい? 」

「言いたい? 」


「ただで聞きたい? 」

「なんかくれれば、大人しく聞いてやってもいいわよ。」


「なかなかお主、やるではないか。

ダダでは動かんというその心意気に感服したぞ。

我が守銭奴教に入り、お主の心意気をもってすれば、あっというまに次席司祭に上り詰めそうだな。」


「で、話すの話さないの。」


「しようがない、今回は初回特典として、ダダで、良いこと守銭奴教とはダダでは決して動いては駄目よ。」


「私は守銭奴教なんて興味がないから。」


「まぁ、もったいない。

あんたぐらいの心意気があれば明日にも守銭奴教の幹部になれるのにね。

まぁ、いいわ、時間もただじゃないし。

それではまずは、宿泊施設の建設ね。」


「えっ、そのショッピング施設から建設しないの。

あっ、そうか旅団の依頼を優先するのね。

宿泊施設を作ることが私たちが旅団からここに派遣されてきた最も大事な使命だものね。」


「がぁっ、あなた何を言っているの。

旅団の依頼はついでよ。

ついでというより単に私の目的と方向性が一致したというだけの事よ。」


「ちょっと待って、旅団のためじゃないとすると宿泊施設は何の目的で作るのよ。」

「決まっているじゃない、金づるを固定するためよ。」

「金づるを固定って、いったい・・・・・。」

「しょうがないわね、将来の守銭奴教幹部候補のあなたにだけはタダで教えてあげるわね。」

「だから、私は守銭奴教には入らないってばぁ。」


「まぁまぁ、遠慮しないで聞きなさい。

私って今日は気分が良いから特別サービスでいろいろタダにしてしまっているの。

今日、だけだからね。そこんとこは勘違いしないでよ。


えっとね、通りすがりの一見さんでなく、泊まり込んでじっくりショッピングパークを楽しんでほしいということなの。お客様の囲い込みね。

当然ショッピングだから何らかの商品の購入やサービスの購入をしないと全く施設が楽しめないわけで、じっくりと楽しむためにバンバンお金を落としてもらうということなの。」


「見るだけじゃダメなの。宿泊料だけで済ますことも可能だわよね。」

「そうねぇ、宿泊だけでも可能だわね。」

「食事込みで、適正料金になるようにソシオ様に調整していただくことが厳命されたわよね。」

「そうねぇ、宿泊料金はソシオさんが指定するようねぇ。」


「だったら、転移してきて、ここに宿泊して、次の日の朝、風の聖地に移動するのであれば、例え宿泊客を囲っても敬虔な巡礼者であればそうそうバンバンお金を落とさないのじゃないのかしら。」


「風の聖地突風待機施設は食事は出しません。

すべて、ショッピングパークで外食してもらいます。

また、衛生上の問題がありますので、外部からの食料の持ち込みは厳禁とします。

それに、風の聖地に行く前に昼食のお弁当もショッピングパークで購入していただくことにします。

風の聖地での行き来には制限がありますので、食料の運搬は最小限にすべきです。

はっきり言って、駄女神夫妻の食料の運搬で手がいっぱいとなりましょう。


これらの禁を破って、食料を持参した者は、持ち込んだ食料の没収と罰金として夕食10回分を支払ってもらいます。

罰金じゃ聞こえが悪いから、風の聖地へのお布施としましょう。」


「げっ、ということはぼったくりの食事をここで食べなければならないということなの。」

「アラナさん、何を言っているの。

食事の値段もソシオさんが統制することになるはずよ。」


「それだったら、あまりもうけがないわね。」


「そうそう、漸くあなたも守銭奴教徒としての自覚が出た来たようね。

儲けの大きさを気にするようになれたわね。」

「いやっ、ちょっと待って、これは話の流れだから。

私は絶対儲けたいわけじゃないから。

そりゃぁ、ちょっとは儲かって、マドリンの素敵なお店で洋服やアクセサリーなんかも、ちっょ、私な何言ってるの、ダメでしょ。」


「良いのよ、誰もがはじめは守銭奴教に反発するものなの。

私はそんながめつい奴じゃないとね。

でもね、生きている者はすべてより良い生活を求めるものなの。

特に貨幣経済が発達している種族では物の価値が貨幣で比較できるから。

物の価値が幸せの価値として測れるんだから。」


「そんな、そんな、お金で買えないわよ幸せは。」

「その通り、お金じゃ買えないわよね、幸せは。

お金があったとしても幸せとは限らないわよ。」

「ほうらっ、やっぱり、守銭教はなんかおかしいわよ。」


「お金があったとしても確かに幸せとは限らない。

でもお金がなかったら、どうなの、幸せなの。」

「お金がなかったら、幸せか?」


「今日のパンを買うお金がないの。

何も食べる物がないの。

あなたはそれで幸せ。

今日だけでないわよ、明日も、明後日もお金がなくて食べ物が買えないの。

お腹がすくわよ、それでも幸せと言えるの。」


「でも、でも、」


「まぁいいわ、今晩、寝る前に良く考えて頂戴。

お金がない幸せとは。

お金がある不幸とは。

そうすればわかるわ。お金の価値が。

無くなってからじゃ遅いわよ。」


「お金がない幸せとは・・・・・・。

お金がある不幸とは・・・・・・。」


「まぁいいわ、食事が適正価格であまりもうけがないという話よね。

私も生活に必須な食事で儲けようとは思わないわ。これは本当よ。」

「えっ、何か以外だわ。ケツの毛まで毟りそうなあなたなのに。」

「ちょっと、待ってよ、私はそんなものはいらないわよ。ほしいのはお金。」

「まぁ、そうだろうけど。」


「必要な物は適正価格で、趣味や贅沢品はぼったくりで、という考えよ。

必要な物と同時にぼったくり品を買わせるのが守銭奴教徒の生き方よ。」

「なんか、正当なことを言っているのか悪徳商人が言っているのかわからない生き方なんだけど。」


「悪徳商人じゃないってば。守銭奴教徒だってば。」

「私は守銭奴教徒よりも悪徳商人の方がまだ理解しやすいんだけど。」

「まぁ、適正価格の食事を提供しつつ、ぼったくり品をどう買わせるかを聞いたら、悪徳商人と守銭奴教徒の違いが判ると思うの。」


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