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第六十六話

※ネタ募集中!誰かと誰かの話が見たい等、感想まで!


 桜は、取り敢えず目の前で起こっている事態について冷静に分析することにした。


 夏休みが終わり、新学期が始まった最初の週末、桜は兄と二人きりで名古屋港に行って十分幸せな休日を過ごしていた。昼間は水族館に併設されているレストランで食事を取り、午後は水族館の近くにあるポートタワーに登ったり、遊園地めいた場所で遊んだりした。


 夕方には兄と共にファミレスではあるが、二人っきりで夕食を食べた。現在、その夕食を食べている真っ最中だ。いや、正確に言えば「真っ最中だった」、だ。何故過去形なのかといえば、現時点で桜の注文したプレミアムハンバーグステーキセットのメインたるプレミアムハンバーグステーキは残す所3分の1を切った時点でナイフとフォークが置かれ、一緒に頼んだパンももう2,3口で消えてしまうであろうと言う所で皿の上に置かれている。


 正面に座る昇はナポリタンとピザにグラタンと食いしん坊バンザイなメニューが揃っているがそれらも残す所あと僅かで止まっていた。そして、その視線はファミレスを巡回する覆面の男達に注がれている。彼等の手には散弾銃と火炎瓶にパイプ爆弾が握られている。


 全員が散弾銃で武装しており、客達にその場から動くなと怒鳴っていた。どうやら、強盗ではなくテロリストの類らしい。何が目的なのか?と言えば、現在進行形で進む日米安保とそれにまつわる法整備に付いて過激派が実力行使を伴って抗議をしているようだ。


 彼等の要求は国のトップ、つまり総理大臣の辞職だ。テレビ局を呼べ、カメラを呼べと電話口に怒鳴っている。また、全員が戦争法案反対とか首相辞めろと書かれたたすきや鉢巻をしている。




「お、お兄ちゃん、どうしよう?」


「取り敢えず、ご飯は食べておけ。冷めると不味いぞ」




 昇はそう告げると視線をテロリスト達から目の前に視線を下ろし、グラタンを食べ始める。桜もそんな兄に少しばかり驚いた様子だったが、昇がそばにいるし、イザと成ったら魔法少女に変身すれば問題ないかと実に楽観的な考えでプレミアムハンバーグステーキを食べ始めた。


 2人が緊迫した空気の中で食事を再開し始めると、テロリストの1人が走ってやって来る。


 2人は奥まった場所に座っており、周りには誰も居ない。




「何をやっている!」




 そして、テロリストが銃口を昇に向けようとした瞬間、昇は変身をした。魔法少女クアトロ・セブン。桜はそれに合わせて自分も変身をする。勿論、戦闘には入らない。クアトロ・セブンは銃身を掴むと同時に右斜め上に引っ張りあげた。


 テロリストはその凄まじい力に思わずトリガーを引いてしまい暴発。壁に大穴を開ける。銃声に周囲の客がパニックを起こしそうに成った所で、クアトロ・セブンが凛とした声で静かに!と怒鳴りつける。




「私、乙種魔法少女第7777“クアトロ・セブン”と申します」




 クアトロ・セブンは銃を取り上げたテロリストを問答無用と言わんばかりに腕を叩き折る。そして、悲鳴を上げようとした所で、クアトロ・セブンは顎を殴り付けて脳震盪を起こさせ、気絶させる。




「皆様、落ち着いて下さい。


 そして、テロリストの皆様ごきげんよう」




 クアトロ・セブンは慇懃に頭を下げる。右手にはM1918“ブローニング・オートマチック・ライフル”自動小銃が握られており、左手にはテロリストから取り上げたブローニングのオート5が握られていた。




「私が人質代わりになるので、この場にいる全員を釈放なさい」




 そして、クアトロ・セブンはシレッとそう告げる。犯人達は一瞬困惑し、それから全員が一人の男を見た。




「ば、馬鹿かお前は!」


「バカは貴方達でございましょう?


 こんな大勢の人質を取って更には銃や火炎瓶、パイプ爆弾で武装。貴方達、控えめに言ってSATに射殺されますよ?」




 SATとはSpecialAssaultTeamの略称で、日本語で言えば特殊強襲部隊だろう。SATの行動方針は犯人確保ではなく、人質が置かれている危機的状況の排除であるため、彼等は犯人を躊躇いなく狙撃して殺す。場所はファミレスで、全面ガラス張りの二階に位置している。向かいにも狙撃しやすいビルが点在しており、SIT達交渉部隊が交渉するのと並行で狙撃をして来るだろう。


 クアトロ・セブンが懇々とそして、自身の持っているBARから7.62mm×54弾を抜いて自身の弾丸がどれほどの威力があるのかを丁寧に説明していく。




「貴方方も知っているでしょうが、私のこの弾丸。キメラを難無く撃ち殺すことが可能でございます。


 魔法少女だから、と言うのではなくこのレベルの大きさの弾丸はキメラに損害を与えるのに十分な威力を発揮します」




 クアトロ・セブンはテロリスト一人一人に自身の弾丸を渡していく。




「SATは豊和重工のゴールデンベアと呼ばれる7.62mm×51弾と呼ばれる弾丸を使用します。


 多分、狙撃用の高精度マッチング弾でしょう。見たところ、貴方方は防弾チョッキをしていますが、それでは拳銃弾を防げてもライフル弾は防げませんね」




 クアトロ・セブンはご愁傷さまですと告げた。




「そちらの弾丸とほぼ同じ大きさの弾丸を放ちます。道路を挟んで彼我の距離は200メートルもありません。こんな至近距離、彼等の腕を持ってすればジェーン・ザ・リッパーがキメラを細切れにするレベルで容易に狙撃をするでしょう。


 彼等の狙撃方法は至って単純です。眉間の中央にある脳幹と呼ばれる場所を狙撃します」




 クアトロ・セブンはかぶっていたヘルメットを脱いで、脇で震えていた小学生の少女に被せる。




「ここを損傷した人間は一瞬で死にます。体に指令を出しているのがこの脳幹と呼ばれる場所なのです。


 貴方達が持っている火炎瓶やパイプ爆弾。それらを作動させる前に貴方達は死ぬでしょう。火炎瓶は単純に布で栓をしただけのものですね?」




 クアトロ・セブンは近くに居たテロリストに尋ねると1人が思わず頷いてしまった。リーダー格の男はそれを叱責するももう遅い。




「それは落として割れたとしても火は付きません。


 喫煙席の方々、タバコは確りと消して下さい。タバコの火で一気に燃え上がりますよ。彼等が死んだらその場に火炎瓶が落ちるでしょうから」




 クアトロ・セブンの言葉に喫煙席に座っていた者達が大慌てで灰皿にお冷やジュースを掛ける。クアトロ・セブンはそれを見てから宜しいと頷くと、視線をテロリスト達に戻した。




「外を見て下さい」




 クアトロ・セブンはそう告げると外は集まってきた警察達が強烈な光を店側に向けている。お陰で外の様子はほぼ見えない。




「何故、彼等がああやってライトを外から浴びせているか分かりますか?」




 クアトロ・セブンがしばらく黙ってテロリストを見遣る。答えが出ないと分かると人質の方を見た。




「分かりませんか。


 答えは簡単です。貴方達の視界を奪ってSATの狙撃兵を配置しやすくしているんですよ。車でハイビームを当てられると視界不良になるでしょう?それと同じです」


「ふ、巫山戯るな!!


 お前ら窓を締めろ!!」




 リーダーが窓際の客達に告げるが、客達はそれは無理だと言う顔でテロリスト達を見る。この店、窓にブラインド等の物はなく、窓の外にビニールのテントのような久が出て日光を防ぐ仕組みになっているのだ。その為、ブラインド等をして視界を奪うという事が出来ないのである。


 クアトロ・セブンが呆れた様子で告げると、テロリストの一部が死にたくないと漏らしだす。




「それはそうでしょう。


 さて、此処で思い出して欲しいのはSATの行動方針です。さぁ、人質の皆様。SATは何故、犯人を射殺するのですか?」




 はい、貴女とクアトロ・セブンは脇に居た老婆に尋ねる。老婆は、人質の危機的状況を排除するため?と震える声で告げると、クアトロ・セブンはその通りですと頷いた。




「良いですか、テロリストの皆様。


 貴方達が命を繋ぐために先ずやる事は人質の開放です。勿論、全員を開放しては貴方達はただの阿呆です。なので、私がこの場に残りますので他の皆様を開放するのです。私ならよっぽどの事がない限り『人質の危機的状況』とはなりませんからね。SIT達が交渉をするでしょう。


 貴方達の要求はSATでは解決してくれません。SITとの交渉を狙うのです。分かりましたか?」




 クアトロ・セブンの言葉にリーダーは頷くとドア側の人間から外に出て行けと告げる。クアトロ・セブンは自分の居た席に戻り、変身をしている桜の元へ。




「桜。貴女は……


 クラウド・バスターです。今名付けました。貴女は人質の誘導を手伝って下さい」


「わ、分かった」




 桜が立ち上がり、クアトロ・セブンは段々と騒がしくなり始めた入り口に向かって声をかける。




「彼女はクラウド・バスター!


 私の知り合いです。彼女の指示に従って、おはしを守って行動して下さい。はい、貴女。おはしはなんでしたか?」




 クアトロ・セブンが先程ヘルメットを被せた少女に尋ねると、少女は押さない、走らない、しゃべらないと告げる。クアトロ・セブンはその通りです。素晴らしいですと拍手をしながら告げる。




「いいですね。押さない、走らない、しゃべらない。防災訓練と同じです。最後にクラウド・バスターが外に出ます。外に出たら警察の指示に従って下さい。


 外に出るまではクラウド・バスターの指示に従って下さい」




 クアトロ・セブンはクラウド・バスターに指示を聞かない奴がいたら問答無用で殴って構いませんと告げる。また、外に出たら貴女は柳葉を呼べと告げ、柳葉にマスコミを追い払うよう伝えてくれと言う。


 人質達は10分程で完全に居なくなり、レストランの中にはクアトロ・セブンとテロリスト達のみになった。


 外に出た桜は毛布を持って来た警官に必要無いわと宣言し、大股の足取りでバッグから携帯を取り出して何処かに電話を掛け始める。警察の立ち入り禁止テープを潜って外に出た所で大量のマスコミに囲まれる。




「貴女は魔法少女ですね!?


 中の状況はどうなっているのでしょうか!」


「何故魔法少女がここに居るのですか!」




 矢継ぎ早に飛んで来る質問、差し出されるマイク、慌てて飛んで来る警官で凄まじい事になるが、桜は一喝した。




「五月蝿い!!


 此方は電話中よ!だからアンタ達はマスゴミなんて言われるのよ!恥を知りなさい、恥を!」




 桜はマイクを一つ奪い取ってそんな事を言い出す。全国向けの生放送で、だ。


 嘗て愛知県では長久手町で人質立て篭もり事件が起こっている。その時SAT隊員が1人殉職しており、今回もその事があってかなり注目されているのだ。




「中にクアトロ・セブンが居て、アンタ等を追い払うよう言ってるわよ。


 どうせ、この上のヘリの半分以上がアンタ達マスゴミのヘリなんでしょ?そのせいで警察の布陣がバレちゃうでしょう!アンタ達は人質殺したい訳?」




 桜はなかなか賢い。クアトロ・セブンの言った柳葉を呼んでマスコミを追い払えとはこの事だし、犯人の目的は自分達の注目を集めることがメインなのでマスコミが増えるということは彼等にとっては事件をより長引かせる事になる。


 桜は理路整然と声を張り上げてマスコミを罵倒し始めた。そもそも、アンタ達は公平性を大きく欠いている。魔法少女の報道にしろ、自衛隊の報道にしろ、安保理やそれに関わる関連法案にしろ、報道内容が偏り過ぎだ、と。


 特に安保理法案を大々的に報道するため、そこに隠れてマイナンバー制度等の実際問題、それって放っておいて大丈夫なの?と言われる法案は素通りで可決されている。


 勿論、まっとうに暮らしていればマイナンバーだろうがなんだろう問題無い。しかし、実際問題、マイナンバーに成って困るのは情報流出やプライバシーの問題だ。日本の情報管理能力や情報流出に関する危機感と言うのは言ってしまえばかなり低い。


 毎年何だかんだで大きな会社が個人情報を流出させているし、各省庁だって同様だ。マイナンバーの情報が流出したら言ってしまえば流出した人間の保険証から銀行口座に至る全ての情報が曝け出されてしまうのだ。


 マイナンバーに至るは良いが、そこに関する気の引き締めが出来ていないと言っても過言ではないだろうか?と桜は熱弁した。現場は一気に事件よりマイナンバー制度の話になり、安保理法案に関する話は鳴りを潜めてしまった。


 そして、暫くするとジェーン・ザ・リッパーとテン・バーに赤池が飛んで来て、マイクを握って熱弁する桜を何処かに連行してしまう。そして、変わるようにジェーン・ザ・リッパーと柳葉がマイクを握った。




「現在、人質になっているのはクアトロ・セブンだ。


 彼女は偶々此処に夕飯を食べに来ていたのに巻き込まれただけだ。犯人の目的は報道カメラとアナウンサーを一人入れる事、また、総理の辞任と現政権を共産党に移すことだそうだ。警察は彼等を新赤軍一派と考えているそうだ。


 事件が解決するまで警察が設けたガイドラインに従って報道しろ!それを破ると公務執行妨害及びテロリストに加担したという事で色々と重い罪に掛けられる。報道の自由はあるが、その自由には責任も有ることを自覚してくれ。以上」




 柳葉はそう告げると、ジェーン・ザ・リッパーと赤池に桜を連れて行くよう告げて、自分は警察の現地対策本部に向かった。柳葉と変わるように警察官がやって来て。指示に従って行動するようにと告げて何処かに誘導し始める。




桜を主人公に書きたいが、ネタが無い


そんな感じの日々




※ネタ募集中!誰かと誰かの話が見たい等、感想まで!



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