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棚ぼたってことでいいですよね?




会長に言わせると二階堂先輩に気に入られたらしい私は、その日からなんだか難しい仕事をさせられるようになった。

でも、そんな事に嘆く暇もなく二階堂先輩のスパルタ指導により副会長補佐の位置を確立してしまった。

この期間、なんと1日。スパルタの度合いが分かっていただけると思う。


そんな中で嬉しい誤算があった。



「坂口さん、これ四宮くんと相談して決めてしまってください」


「はい…!」


企画の段階で三嶋先輩が学園祭担当、四宮先輩が体育祭担当となっているため、何かとお二人に相談することが多い多い。

だから、デスクワークを優先させたい二階堂先輩に変わって私が相談役を務めているわけだ。


狙った訳じゃないのに最推しの四宮先輩と話す機会がこんなにたくさん舞い込んでくるなんて、ファイリングしまくった甲斐があったなあ…!




「……から、ここまではこっちので行こう、って聞いてるか坂口さん」


「は!すいません!」



つい、キリッとした瞳とか、男らしい手だとか、なのにちょっと猫背気味なとことか、萌えポイントをひとつひとつ受け止めていたらボーっとしてしまっていた。


怒られる!と肩を縮こめた私だったけど、少し眉間に皺が寄った彼はそのあとすぐに表情を緩めた。



「珍しいな坂口さん、少し疲れてるのか?」


「……い、いえ、ごめんなさい。ほんとにちょっとボーっとしてしまっただけなので…もう1回お願いします…」


「まあ大丈夫なら良いんだ」



わ、私ごときに笑ってくださるなんて…!

感動に打ち震えそうになる身体を必死に抑えて、何となく鼻を触りながら四宮先輩の表情に見入った。


四宮先輩は意外に表情が変わる方だ。会長みたいに常に微笑んでおられる方に比べるとよっぽど信憑性の高い笑顔だといえる。

さらに生徒会室にいる時は年相応の会話を楽しんでおられるのを良く見かける。

私はそのおこぼれとして貴重な笑顔や気軽な口調で話してもらえているというわけだ。


こんなに表情が変わる人だなんて思っていなかったから是非ともこの感動を誰かと共有したいのにできない。なんと勿体無い事か。



四宮先輩との相談ごとが終わって、自席に戻るとばっちり会長と目が合った。

会長は目の奥が冷え込んでいる笑みを浮かべていた。


でも、なんだか最近はそんな会長の視線や態度にも慣れてきてしまって、以前のようにあまりビクビクしなくなってきた。

そんな私に気づいているであろう会長は、今回も私のほとんど無い反応に少し肩をすくめて自分の仕事に取り掛かっておられるのであった。



夏休みが終わるまであともう少し。

全部終わったら、ユミちゃんに心ゆくまで聞いてもらおう。


そう決心した私は、とりあえずこの企画書の整理からやらなければ、と赤ペンを握った。



タイトル考えるのが苦手です…

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