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どこのどいつだよ




生徒会のお手伝い初日から、なんだかグッタリとしてしまった。

さあ帰ろうと片付け始めた私の元へ、その元凶がニコニコとしながら近づいてくる。


その手には何故か私のスマホが握られていた。



強制的に会長と連絡先を交換させられた私はそれからというもの、毎日のように手伝いに参加している。しかし、いまだに会長以外ときちんと話す事はできていない。


生徒会メンバーも、こんな一般生徒と話す事も無いに違いないだろうけど。


そう思っていたのだが、夏休みに入って数日が経ったある日、二階堂先輩から初めて声を掛けられた。



「君!坂口さんと言ったね!…なんて素晴らしく効率的な仕事ぶりなんだ!」


「は、はあ…」



私の手を取ってぶんぶんと上下に激しく振っているメガネのイケメンに、私の中の二階堂先輩のイメージにヒビが入って行くのが分かった。

初めは、声を掛けてくださったことや手が触れた事に動揺して顔が赤くなっていたが、先輩がヒートアップしていく内に、内容がよく分からなくて首を傾げる。



「そうだ、君のように先にこちらの資料を整理すると後から閲覧しやすいし、とても楽にファイリングができるんだ…!」


「そ、そ、そうですね…」



ついに感極まったように涙目になりだした先輩に少し引いていると、いつの間に近くにいたのだろうか、会長が二階堂先輩と私の手を離した。



「おい、響やめろ」



何故か少し怒っているような声で私たちを強引に離した会長を見上げる。


イメージが崩れたと言えばこの人だ。

優しくて穏やかなんて誰が言い出したのかと問い詰めたい。本性は完全にいじめっ子体質で、怯える私を脅してはドS顔で喜んでおられる。



「なに?響にもっと触ってて欲しかったわけ?」


「いえいえいえいえ!!そんなことは!」



本性が分かったって、こうして見下して凄まれると会長の後ろに自分のSNSがチラついてビクビクしてしまうんだからしょうがない。



「はあ、響は効率的に仕事する人間が大好きなんだよ、君厄介なのに捕まったね」


「え、えええ」


「こんなに仕事のできる人材に何故ファイリングばかりさせているんだ悠里。さあ坂口さん、僕と一緒に会計整理をしよう」


「あ、はい」



キラキラとした瞳で真っすぐ言われてしまえば私はイエスとしか答えようがない。

そんな私に呆れたようにため息をついた会長はさっさと自分の席へ戻ってしまった。



「あ、あの…このファイリングが終わってからでも良いですか?」


「もちろん!受け持った仕事は最後までやらなくては!」


「ははは…」



もはや、最後は苦笑いしか出なかった。


おい、誰だよ二階堂先輩が腹黒二面性イケメンとか言ってたやつ…



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