守りたいと願ってしまったから
「こっちに来てるのかあの鎧」
「そのようね………」
急いで剣を持つと鎧騎士に対抗するため身構える、鎧騎士はそんなことお構い無しかのように剣を振りかざしてきた。
「…………」
カキンと鉄と鉄が混じり会う音が部屋に響く、剣の扱いがなれたい為叶多ユラを守るために防御をするのがやっとの状態だ。
「チッ、なんつう力だよ」
「だ、大丈夫……?」
「ああ、多分な」
叶多は舌打ち混じりで答えつつ鎧騎士は手を休めず剣を振りかざして来ている。
「何だよこいつ突然襲い掛かって来やがって!」
「(私も何か役に立ちたい………)」
「ぼさっとしてねぇで動け」
無人のような動きで動く鎧騎士は右左と交互に剣を振りかざし多彩な攻撃をして来ているだが考え込んで立っているユラを集中的に狙いだした。
「そっちじゃなく相手は俺だろうが!」
苛立ち叶多は鎧騎士の腹部分を殴ったがびくともしなかった。
「これでも効かねぇのかよ……」
「………」
騎士は叶多に向けて腹部分をお返しかのように殴り飛ばした、叶多は数メートルは飛び壁に激突しうつ伏せになった。
「くっ………」
叶多は口から血が垂れとっさでガードした左手が骨も折れ力が入らない状態でもなお立とうと壁に寄りかかる。
「まだ、終わってねぇよ……カハッ…」
「貴方もう休んでなさい! ファイヤーボール!」
詠唱無しでノータイムで叫んだ、だけで魔法を発動し騎士に向かって放った並の魔術師が放てる程の火力ではなく騎士を覆い隠すように塵にした。
「はぁはぁ……どんなもんよ!」
「すげぇな……」
圧倒的な力を見せたユラはその場で倒れ熱を発していた時ガシャガシャともうひとつの鎧騎士がこちらに来た。
「まだ居んのかよ……」
指一本すら動かせない状況に叶多は悔しくて自分に怒ったやり場のない怒りに。
「(俺はこのままで良いのか俺は………!
次こそは守ってやりたい……目の前で助けてくれた奴を…この気持ちに嘘は付きたくねぇ!
だったらどうするかそんなの強い奴に頼れば良いのか良いや怖がらせてる奴から奪えば良い奪取すれば良い!)」
叶多の両目が赤く光った狙った獲物を逃がさない瞳だ自然と痛みは消えていた、本当は合ったのかも知れないだけどそんなのに構っている暇はない、右の手をぎゅっと握ったそこには剣ではなくナイフだったナイフの方が使いやすいだから嬉しい限りだ回りを少し見るが剣は消えていた、そして自然と体は動いていた音もなくナイフを少しでも早く振り上げたまるで空間が斬れて叶多が騎士に引き寄せられると言うよりそこの空間が消えて叶多が騎士の近くに居るような形で繋がったように騎士の隣に居た、ユラの手を握っていた鎧騎士の腕をスパッと鉄だったはずの鎧騎士の腕を糸も簡単に斬っていた赤い血が叶多が持っているナイフに付いていく。
「さぁ、ここからは俺のターンだ覚悟しろ……」
叶多は鎧騎士を睨み付け剣を振りかざした、カキンカキンと剣と剣が混じり会う音をこの空間に響き渡らしていただが叶多は動きが速く追いつくのもやっとの状態の鎧騎士はあちこちが傷だらけの鎧になっていく。
「か、格好いい……」
ユラは意識が朦朧としながら半目で叶多の方を見ていた。
「(なんだろうこの気持ちは……)」
「固いなだがまだまだ壊すのはこれからだ」
ユラはじーーーと叶多の顔を見ているが叶多はどんどん素早さを上げて居るためあまり見れなくなったそして逆に鎧騎士の方はどんどん鈍くなって来ている。
「まだ奪い足りねぇよ!」
叶多はふっと何処か馬鹿にしたような笑い方をしながらナイフを振りかざすのを止めない。
「まだ俺のターンだろ?」
鎧騎士の両足を切り落としどんどん両足から血が流れいってるのがわかった。
「これでお仕舞いだ!」
叶多は鎧騎士の頭をナイフで突き刺しぐりぐりと力強くねじ込んでいく。
兜から赤い液体が大量に出ていたただとても赤く腐っていたのかのように、叶多はナイフを引抜きようやく痛みがわかったのかその場にバタンッと音をたて倒れた。
「妖精よ私に力を……」
辺りに小さな緑色の光が輝きユラの回りにくっついていき傷を治していった、そして倒れたことに驚き焦りを隠せず急いで叶多に近づき揺さぶっている。
「死んじゃった……?」
「勝手に死なすな……よ……いてて……」
叶多は苦しそうにも返事をしつつ頑張って立とうとしてる。
「よ、良かった………でもこのままじゃ駄目よね、えっと確かこれをこうしてこうしたら良いのよね……」
ユラは叶多の回りに描くものが無かったので叶多の血で大きな魔法陣を描き回復魔法が出来るように親指を少し噛み血を出して魔法陣に垂らした。
「妖精よこの者を癒し傷を治してください[フェアリーヒール]!」
ユラが呼び出した妖精は小さな体に綺麗な顔立ちで背中には小さな羽が生えているそして、妖精は叶多に近づきたちまち叶多の傷が癒えていく傷が治ったのがわかると妖精は消えていった。
「治してくれたのかありがとうなユラ」
「ふん、当たり前よ!」
叶多はお礼を言うとユラは少し頬を赤く染めそっぽを向いた。
「あそこにまだ魔法陣が、これは何だ?」
「これは多分転送か何かじゃないの?」
「マジか、試してみるか……」
試しに叶多はさっき倒した鎧の兜を魔方陣の方に投げてみるとその時魔法陣の真ん中に着くと突然兜が消えて魔法陣だけが取り残されていた。
「本当だ、って事はあの本に書いてあったのは全部ここの設計なのか……?」
「って褒めてくれないの!?」
「あー、そうかありがとうなユラ」
叶多はユラの頭を優しく撫でると魔法陣の方を少し見てるとユラは撫でられるのが嬉しいのかえへへと嬉しそうにしている。
「何処に繋がってるのかわからないわよ……?」
「そうだな、何処に繋がってるかは入ってからのお楽しみってか?」
「お楽しみって叶多は……」
ユラは呆れた視線を送っている。
「しょうがないだろ?わかんねぇもんは」
「それもそうね」
叶多は苦笑いを浮かべつつ頭を少しかくと。
「そんじゃ行くぞ」
「えっ、ちょっとまだ心の準備が!?」
叶多はナイフをボロボロの学生服のポケットに入れるとユラを抱き抱えそのまま魔法陣に飛び込んだ。