樹のふもとへ
「ユラ」
「なにかしら?」
「これからあるところ行っても良いか?」
「あるところ?」
叶多はほれこれこれと樹の調査の依頼紙を見せた。
「確かに変だけどなんでこれを?」
「まだ色々とわかんねぇしとりあえず手がかりを全部するしかねぇだろ」
「まあ、そうね」
ぽりぽりと少し頬をかきながらユラを連れて家に帰ることにした。
「持ってくもんどうするんだ?いやそれもだがユラの服装どうするか………」
「え、あっ大丈夫よ私のこれで」
くるっと右回りに回って服が変わってゆく。
「どう似合ってる?」
運動するためなのか動きやすそうな服で下はスカートを履いており短パンを履いて隠してあるようだ、元気一杯のようでニコーと微笑んで歩いていた男性が倒れるなど叶多に殺気を向けるものも数人………。
「ああ、似合ってるぞ?」
「そう、ありがとう……ふふ」
嬉しそうにまた微笑んで叶多の隣に立って歩き出した。
「俺はまあ準備するもんはどうっすかな………」
少し考えるものの大丈夫かと思うとそのまま向かうことにした。
「それじゃ行くの?」
「そうだな、少し突っ走るぞ」
ユラをお姫様抱っこをすると目的の場所まで行く駅に向かった。
「ちょっと離しなさいよ!?」
「この方が速いだろ?」
「確かにそうだけどでもそのね?ブツブツ……………」
小さい声でずっとでもそのね?ね?等よく解らないことを呟いていた、叶多は風の加護でもあるのか!?と言われるぐらいの速さと風が運んでいった。
「6番7番よしそこ」
8番電車に着くと急いで乗り込み椅子にユラを座らせた。
「あれ? もう着いたの?」
「なんかいつもより速くなった気がした気のせいだと思うが……」
風が少し止むと普通に戻った。
「そう、それより叶多お腹空いたーー!!!」
ユラはじたばたとしながらもうーー!!!と言っていた。
「わかった、わかったから少し静かにしろ」
「はーい」
やったー~と喜びながらユラはにこにこしていた、叶多は何処かで買えるところがあるか見に行くことにした。
「やぁ、また会ったねぇ~」
「えっと……」
「忘れちゃったのー? 寂しいなぁ~」
いえーいいえーいほら思い出して?と何処かふざけたように言ってくる男はあの時出会ったたこ焼き屋だった。
「あっ……」
「よーやく思い出してくれたか! いやー忘れられるのは辛いさー!」
「こんなところで何してるんですか?」
「それがね、知り合いが来いって言うのよだからこれに乗ってる!」
やれやれだよ~とわざとらしく両手をあげ言っていた。