再会と影
受付を済ませたミノーがギルドを後にしようとした時、ミノーが手を掛けるより先に扉が開く。
ミノーの目に映ったのは黒い髪とそこに混じる金糸。その中で存在感を主張する三角の犬耳はミノーの目線の高さ。久しぶりに会うその人は……。
「ライく「ミノーちゃあん!」げふぉあっ」
文字通り目にも留まらぬ速さでミノーは捉えられた。襲撃者の腕にかっちりホールドされて抜け出せないミノーを頬ずりと柔らかい感触が襲う。
「久しぶり〜ミノーちゃん会いたかった〜」
「ルヨ!ミノーが息してない!」
ギルドを訪れたのはライとルヨの兄妹だった。
(ライ君、息してないんじゃなくて息ができないんだよ。乳息。…….なんで息できてないって分かったの?)
一度は緑の高台に帰ったこの兄妹。今回は、また大物が仕留まったので素材を売りに来たとの事だった。
時に、この二人がブルーニカに来たのはミノーをここまで連れてきた前回が初めてらしかった。その時はミノーを含む三人の引率でこの場に居ないリーサーが来たが、今回はミノーの事が無いので二人に任せたようだ。
(んで、あたしとリーサーさんが記憶院に行って処置してる間に二人は冒険者ギルドに加入したらしい)
ギルドは冒険者から素材の買取もしているのだ。公正な査定の下、多少の手数料を差し引いて相場で買取してくれる。
別にギルド以外で取引しようとも冒険者の自由だが、そこでトラブルになってもギルドは関知しない。普通はギルドでの買取の方が冒険者にとり、何かと安心というものだ。
「と、忘れてた。あたし依頼行かなきゃ」
「……行っちゃうの?」
途端にルヨはしょんぼりと意気消沈する。
この滅茶苦茶に綺麗系の美女なのに可愛い系も持ち合わせる反則生物は一体なんなんだとミノーは白目をむく。
「時間がかかるのかい?」
「いや、そんなに掛からないと思うよ。庭の木の枝邪魔だからちょん切ってってやつ」
「そうか、それなら依頼が済んだら食事でもどうかな」
ミノーはライの提案を了承し依頼へと赴いた。
(ライくん、本当にお兄ちゃんしてるね)
というのも、集落には年の近い女の子も居なければ、獣人の人も二人を除いては居ないらしい。
『お兄ちゃん』としては、せっかく会えたルヨと年の近い女の子であるミノーと話す場は作ってあげたいようだ。
(いや、言う程は年近く無いし、ルヨちゃんのあたしの扱いって愛玩動物と然程変わらない気がするのは気のせいかしら)
そもそも女の子を自称できる年では無いかと考えてしまったところで、ミノーは頭を切り替えた。
◇◇◇
「ふむ、これはこれは、聞いてみるより見てみろだよねえ」
依頼の場所は如何にも立派なお屋敷。ここはブルーニカの中心付近の区画。そこには所謂貴族や豪商といった者が多く住む。
外壁に程近い下町のーー悪く言えば乱雑な雰囲気は無く、単一の文化の下で作られた街並みと分かる。
(なんだかヨーロッパっぽいぞ。行った事無いけど)
さて、ギルドに依頼を出したのはそこに住む貴族……の、使用人との事。屋敷の庭の木の枝が伸び過ぎて見栄えが悪い。切ってくれと。
これがつい数日前に依頼票としてギルドに張り出されたのだが、ミノーが受けなければ依頼は依頼票のまま、延々と張り出されたままだっただろう。
この街にもその道のプロが居る。庭師として飯を食べる者に依頼せずに、わざわざ何でも屋の冒険者にそれを頼む。怪しすぎる。
冒険者としては生活がかかってているのだ。安定した依頼を受けたい。当然、怪しい依頼は避ける。
その点、ミノーの気は軽いものだった。ここで彼女にインタビューをしてみよう。
『Q.あなたにとって冒険者稼業とは?』
『A.趣味です。』
『Q.生きるのに必要な仕事では無いのですか?』
『A.別に冒険者やらなくてもバイトで食べていけるので。』
『Q.それは何故?』
『A.衣食住の内、衣と住が魔法でタダだからかな?』
という訳で、冒険者稼業での失敗をそこまで恐れてはいないのだ。
ここ一月程でよくよく確認した。ミノーが手にした魔法は反則級の力を持っていた。それは金貨五枚もの獲物を一撃で仕留める事も出来れば、生活物資を魔法で作り出してしまう事も出来た。
例え冒険者として食えなくなっても大丈夫な程に、今の生活にはゆとりがあった。
無論、だからと言って不真面目に取り組む訳では無いが。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか。……貴族のエンカウントもあるから失礼の無いようにしないと」
屋敷の門をくぐる。パーカーと短パン姿で。
◇◇◇
立派な屋敷に立派な扉。備え付けられたドアノッカーを叩くと、対応したのはメイド……というミノーの予想を裏切る、燕尾服に身を包んだナイスミドルだった。
(いきなり執事級がエンカウントするとは……!やはり貴族のお屋敷、油断ならない!)
などと下らないこ事を一瞬考えてしまうが、気を取り直して要件に移ろうとする。
ところが執事は上から下までミノーの姿を見ると背を向けてしまい……。
「コホン、あー……誰か居らぬか」
(しつじはなかまをよんだ!)
「はーい、どうなさい……ま……」
(メイドAがあらわれた!って、え?なんであたしを見て硬直するの?)
「ちょ、な、なんて格好を…!ザ、ザルバさんは向こう向いててください!」
「向いておる」
「格好?」
確かに作業着で来た方が良かったかと、ミノーは的外れな事を考えては首をひねる。
しかし明らかに作業着でないことを咎める、そんな様子ではない。
「いらっしゃい」
ミノーはちゃんとしたメイド服の女性に手を引かれ、どこへやら連れて行かれる。
(で、ここは……更衣室ですね。はい)
連れていかれた本人は呑気なもので、のんびりと状況を確認する。貴族の屋敷中、自分が何か粗相をしたのか……などと自覚できないのがこの人だ。
「まったく、そんな格好で!」
「えぇ……?」
何か格好の事で怒られているらしい。
ミノーが困惑していると、メイドがスカートを引っ張り出してきてはミノーにずいと差し出す。
「……ん?」
「ん?じゃないわよ!下着丸出しで何してるのよ!」
(下着だと?……まさか!)
「ちょっと失礼」
「へっ?」
突然ミノーは凶行に及ぶ。メイドのロングスカートに潜り込み、確認したのだ。
数拍の後、ミノーはスカートから這い出る。思考が追いつき、ワナワナと震えるメイドを他所に、ミノーは自らの下半身を確認する。
膝上が少し高めの短パン。
無言でパーカーのポケットから手帳を取り出し、中からページを一枚切り取る。
ページは霧散して手帳に吸い込まれ、短パンは煙の様に揺らめきながら形を変える。
短パンはジーンズになった。
「えと、お見苦しい所をお見せしました?」
ミノーに対応していたメイドのシニカは呆然としていた。
貴族の屋敷に突然下着丸出しで現れた謎の少女。とんでもない格好なのに恥ずかしがる様子も無く、突然スカートに潜り込まれたかと思えば、詠唱も陣も無い魔法で着替えた?
(何これどうしたらいいの?
ああカノルネ、貴女はこれの相手を私に押し付ける為にここを出て行ったというの?)
錯乱するシニカの思考は数日前に屋敷を出た同僚に移った。
◇◇◇
「さて、やりますか」
ミノーは屋敷の庭で依頼に取り掛かろうとしていた。作業の為に服装はオーバーオールに着替えている。これ作業着で良いよねと今更不安を覚えつつも、他にそれらしいものは作っていなかったので仕方がなかった。
結局、短パンの事は故郷では問題無かった文化の違いという事で誤解が解けた。多様な人種の住むこの街でも特に見かけない容姿も遠方の出という理解の一助となった。
「ふむ、道具は御入用で無いので?」
さて、依頼だ。執事ザルバの監修付きである。
「魔法でなんとかなります。が、その前に聞いておきたい事がいくつか。よろしいですか?」
「伺いましょう」
ミノーはギルドで出た疑問をザルバに問うた。聞く所によると伸びすぎた枝の見栄えが悪い、というよりは、安全の為に切って欲しいのだそうな。
見て見ると屋敷の目前まで枝が迫っている。もし強風が吹いた時など、風に煽られた枝が窓を傷付けるなり、最悪割れたりすると危ないのだとか。
そこで安全の為に枝を少々切りたいが、切るくらいなら庭師よりも冒険者の方が費用節約になるだろうとギルドに依頼を出す事に。
しかし、あまり適当な仕事をする者に来られても困る。そこで依頼の内容を「見栄えが悪いから切って欲しい」とする事で、ある程度自信のある冒険者に来て欲しかったのだとか。
(うん、庭師仕事に自信があれば冒険者やめて庭師やってるよね!)
どうやら依頼元は冒険者に対する理解が不十分らしい事は分かった。何でも屋だからって何でもできる訳じゃ無いんだぞとは、ミノーは口には出さない。
それでもできない仕事では無い。ミノーは依頼に取り掛かった。
「えっとお……モノサシヨデロ、ヒモヨイデヨ」
手帳を取り出し、適当に考え付いた呪文と共に魔法陣を展開する。魔法陣からは1メートルの物差しと、赤い紐が10本、姿を現わす。後ろから「おお」と感嘆の声が上がった。
「召喚魔法ですかな?」
「ご明察」
息をするような嘘である。
「じゃあ、切る所に紐を巻いていくので指示してください。……ネバツククウキ、ミズノカタサ」
再び適当な呪文と共に、今度は大きめの魔法陣を出す。そしてミノーは空中に飛び込み、泳ぐ。
目を見張るザルバを他所に、ミノーは屋敷に迫る枝に取り付く。
しばらくしてようやく我に返ったザルバは、ミノーに指示を飛ばすのだった。
◇◇◇
ザルバの指示により、切る枝と場所が定まった。
執事とあってはそこまで暇でも無いだろう。場所だけ定めて貰えば切る作業だけ。ザルバは自分の事ができるというミノーなりの気遣いだ。
(あたしってば気が効くじゃないか)
「以上ですね。切り終わったらお呼びします」
「宜しくお願い致します」
そう言ってザルバはその場を後にする。後は切るだけだと、ミノーは魔法の威力を考える。
「何をしているんですか?」
「ん?」
不意に横手から声がかかる。
声がした少々高い方を見やると、一五歳程の少年が窓から身を乗り出していた。少し長めの金髪を風に揺らし、穏やかな青い瞳でミノーを見ている。
「……」
「……」
(あ、なんか言わないと)
「え、枝刈りのお仕事です」
「枝刈り、庭師なんですか?」
(なんだろこの子。あたしゃさっさとお仕事したいんだけど)
「冒険者です。依頼を受けて来ました」
ミノーはそう言って首から下げた銅のプレートを服から出して見せてやる。
名前:ミノー
等級:8級
登録地:ブルーニカ
実に簡素だが、これが冒険者の身分証なのだ。こんなものでは偽造し放題と思われるかもしれないが、それがこちらの世界の技術では対策可能なのだ。
それはまた後に語られる所である。
「痛ッ!」
瞬間、ミノーの右腕に痛みが走った。反射的に目を向けるが、そこには何も無い。
痛みもすぐに収まった。
何だったんだと訝しむミノーの頭頂にコンと何かが当たる。枝でも落ちて来たかと手に取って見る。
(あら矢だ。なんつって)
「……矢だあ!?」
「矢ですね」
しつこいようだが、それは矢だった。
矢はそこまで長いものでは無かった。短弓、或いはクロスボウから発射できそうな、それでも殺傷能力は十分だろう事が見て判る。よく手入れされているのだろう。鋭い鏃が木漏れ日に輝いた。
時に、矢はミノーの頭上を飛び去るはずだったのだろう。だがミノーが居る木の周辺の大気は魔法により、人が泳げる程の粘度と重さになっている。
そこを通過するはずだった矢は抵抗により失速し、沈んだ。
そして鏃の向いていた先は……。
「どうしたんですか?」
「良い根性した奴が居ると思ってね」
瞬間、枝が落ちた。
小さな枝から大きな枝まで、赤い紐が巻き付けられた部分だけが滑らかな断面を晒し、空中を沈んだ。
窓から身を乗り出していた少年は目を見開いていた。
「危ないから中にいて。窓も閉めて。人を呼んできます」
「……君はいったい」
非情にもミノーは少年をスルーし、ザルバの下へと向かうのだった。
「冗談じゃない。こんなとんでもない依頼はさっさと終えてライ君とルヨちゃんとご飯に行くんだ」
だが随分と厄介な事になった。夕食が遅くはならないだろうか。ミノーは不安を覚えながらも、ザルバに事を報告するのだった。
暗殺のあった事実を。
◇◇◇
依頼達成の証文を貰い、ミノーは屋敷を後にする。このような依頼の場合、依頼元から証文を受け取るのだ。証文とは言っても、ぶっちゃけた話が勘合である。
ギルドに依頼が届いた際に、依頼元とギルドで勘合が分けられる。冒険者が依頼を達成したと依頼元が見なせば勘合が渡される。それを冒険者がギルドに持ち帰ればギルドから報酬が渡されるのだ。
そして勘合を携えてミノーが冒険者ギルドに戻る。と、同時に……。
「ミノーちゃあん!」
「ハイソコデストップ」
ダミーの魔法陣と、そして適当な呪文を唱える。内容は先の依頼で使ったものと同じもの。一定空間内の大気の重さと粘度を人が泳げる程度まで重くした。
「にゃ!?な、何これ、お、お兄ちゃーん!」
水の様に重い大気にルヨが慌てふためく。黙っていれば絶世の犬耳美女な見た目と反応とのギャップからか、ミノーにはルヨがとても可愛げに見えた。
そこへライも寄ってきた。妹とは対照的に、実に落ち着き払った様子だ。
「おかえりミノー」
「ただいまライくん。あたし依頼の報告の後にちょっと時間がかかりそうなんだけど、大丈夫かな?」
「分かった。待っているよ」
「ありがとうね、あれは残しておくから」
ミノーが指差す先には空中を泳いではしゃぐルヨが居た。既に魔法の空中プールを楽しんでいる様だ。
(順応早すぎでしょう)
ただでさえ完璧なプロポーションで男共の視線を集め易いルヨだが、空中を泳いで遊ぶ姿はギルドの冒険者から注目の的だった。
「アネゴ、依頼完了です」
ギルドの受付にやってきたミノーはアネットに依頼完了の証文を差し出す。その後ろではルヨだけでなく他の冒険者も混じって空中プールを楽しんでいた。
(何よみんな暇なの?)
「お疲れ様。大丈夫だった?」
「んー、ちょっとね。依頼は完了したんだけど、マスターと話す必要がある」
「ちょっと、大丈夫なんでしょうね?」
「……アネゴを信頼してない訳じゃないけれど、何があったかは話せないよ。まずマスターに話さないと」
意外にもミノーは情報管理に慎重だった。情報などどこから漏れるか分からないのだ。今回は特に事が事である。貴族の暗殺未遂……それも犯人は冒険者に罪を擦り付けるつもりだったのだろう。
その事実が漏れたらどうなるか、ミノーには想像出来なかったからこそだ。
「……そう、分かったわ。報酬の大銀貨三枚、いつも通り預けておくわね」
「あ、大銀貨一枚、銀貨でおろして。終わったらご飯食べに行くから」
「へえ、誰と?」
ミノーは振り返って空中プールを見やる。ライとルヨ、そして冒険者達がキレッキレの動きでシンクロしていた。逆さまになったり宙返りや足技を完璧にシンクロさせている。もう順応とかそんなレベルではなかった。
「……えっと、あそこでシンクロしてる兄妹」
「そ、そう、凄いわね……アレ……」
(あたしゃ、彼らのちょっとした暇つぶしにでもなればと思ってああしておいたんだけどねえ……誰がそこまでやれと言ったの?でもまあいっか)
「アネゴも来る?」
「私シンクロはちょっと……」
「そっちじゃねえ……いやいやシンクロの話じゃなくて。ご飯の話だよ。一緒に行かない?」
「あっ、そっ、そうよね。うん、行くわ。じきに受付も終わるし」
(あたしよりアネゴの方がルヨちゃんと歳も近いしね。二人友達にでもなれればいいけど)
食事にアネットも加えて行く事を決め、ミノーはギルドマスターの下へ向かう。本日の事についてホウレンソウだ。
◇◇◇
ギルドの応接室にて。低いテーブルを挟んで二人は腰掛けていた。一人はミノーその人。一人は今朝ミノーにマスターと呼ばれていた壮年の男。
ミノーから依頼中に起きた事、そしてその見解の報告を受け、ベンソンは苦い顔をして考え込んだ。
元は腕の利く冒険者だったベンソンは、年齢による衰えを感じて冒険者稼業を引退した後に、過去の功績からブルーニカ冒険者ギルドのトップに就いた。
そんな経験豊かな彼から見ても、今回の事案は厄介。非常に厄介。
暗殺者はターゲットの部屋の前の枝刈りを冒険者に依頼し、ターゲットが冒険者を気にして窓から顔を出した所で射殺。そして暗殺の濡れ衣はターゲットと顔を合わせた冒険者にそのまま着てもらう。
依頼をギルドに出した屋敷のメイドは既に行方をくらませていた。
随分と計画的で、性根の腐った犯行である。
二人揃って犯人を取っ捕まえて土下座させたい思いだが、相手はこの封建社会で貴族に手を出す様な輩だ。慎重を期す他無い。
「で、お前さんは犯人を見なかったのか?」
「見つけられませんでした。その、弓とか分からないですし、何処から射ったのかも……」
犯人像も犯行現場も分からずじまいである。
そして問題はそれだけに留まらない。暗殺のターゲットだ。
「あそこの家、ノーレット家にはお前の言う金髪碧眼の小僧は居らんはずだが……」
暗殺未遂に遭った人間が誰だか分からないのだ。彼の事をミノーは大方、そこの家の坊ちゃんだろうと考えて居た。だがその家の家族構成は隠居の夫妻とその息子である当主夫婦とその赤子。
当主は立派な大人で、ミノーが相見えた少年とは違う。赤子も当然、彼ではない。
冒険者ギルドを巻き込んだ暗殺未遂、そしてターゲットにされた謎の貴族。
「マスター」
「ああ」
「「これはヤバイ」」
何か大きな陰謀が動いている。そして関わってしまった。
程なくしてミノーはギルドの1階に戻った。
何処から嗅ぎつけたのか、シンクロは吟遊詩人が歌を付けて壮大な演技になっている。ギルドの中は歓声飛び交う大騒ぎだ。
「どうしたもんかな、これ」
その呟きが目の前の光景に向けられたものか、それとも自分の置かれた立場に向けられたものか。知る者は居ない。




