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キャラクター作成集中講座 2

ア「では……まずは出身地からお聞かせ願えますか?」

マ「出身地? 俺は生粋の都会っ子だせ? エードの街に爺さんの代から住んでいる、チャキチャキのエードっ子だ!」


解説:出身地やキャラの幼い頃のエピソード等は、全てキャラの性格を簡単な形で読者に知らせる小道具でしかありません。例えば「都会・田舎」といった場所を示す言葉ひとつとっても、一般的に何をイメージするかという雛形のようなものがあります。

くだんの彼は都会っ子という背景をつけたことで、一般が考える都会のイメージが性格に付加されました。すなわち、エードの特有のチャキチャキした口上まわしだろうなー、という、読者の想像の足がかりができたわけです。

ですからここは奇をてらうよりもありきたりを最優先に考えましょう。


ア「では、つぎに鷹さん、ご出身は?」

鷹「寒い……ところだった」

ア「それだけ?」

鷹「うむ」

ア「では、メグさんは……あれ、メグさん、どうしたんですか、冷汗かいてますよ?」

メ「別にっ! 無敵の言霊使いであるメグが冷汗なんかかくわけないでしょっ!」

ア「へえ、じゃあご出身は?」

メ「都会よ」

ア「都会、というと?地方の県庁所在地的な? それとも東京?」

メ「とととと東京に決まってるでしょ!」


解説:具体的な地名を設定する利点はここにあります。ここでは「田舎」を例にとってみましょう。例えばそれが埼玉あたりのことをさす「田舎」であれば、東京近郊かつ交通もある程度発達しており、畑もあるが人も住んでいる田舎……のんびりしている土地柄の代名詞的な使い方ができるわけです。

これを北海道の富良野あたりに設定すると……どうしたって、ラベンダーの数が町民の数よりも多いとまで言われる広大なラベンダー畑に、ポツリと家一軒みたいな……実際がどうこうではなく、そういうイメージが構築されるという、枠組み的な話です。

ですからアザとー、架空の地名作る時もモデルとなる都市があったりします。


ア「で、メグさん、具体的に東京のどの辺りですか?」

メ「え、なんでそんなこと聞くの? もしかして、疑ってる?」

ア「いえいえ、そういう細かなイメージもキャラの人格を知る足がかりとなりますし……」

メ「嘘! 私の住所を特定する気ね! このストーカー! そういう個人情報を漏らしちゃうほどメグはおバカじゃないけんね!」

ア「……」

メ「(ドヤッ)」

ア「じゃあいいや、次の質問〜」

メ「えええっ! 無視? 軽く無視?」

ア「だって、聞いちゃいけないんでしょ? だったらいいや、話の本筋で触れなければいいだけだもん」


解説:本当は読者に見せない(書き込まない)情報であっても、作者の手元に資料としてあるぶんには邪魔にはなりません。出身地を隠しているキャラであっても、本来の出身地がどこなのか、作者は知っておく必要があります。それは、方言や習慣など、無意識のうちに出る特徴として利用することができるからです。

これは隠し事をする人物に厚みを持たせる基礎テクニックであり、もちろん他の謎を組み込む時もこの応用で利用できますよ。


ア「でも、メグたん、語らせたらウザそうだし、ここは敢えての無視」

メ「うにゅ? 何か言った?」

ア「いいえ、別に。次の質問に移りますよ」

メ「はーい」

ア「みなさんの家族構成を教えてもらってもいいですか?」

マ「おう、俺の家は賑やかだぜ〜! まず、父方のじいちゃんにばあちゃんだろ、あとは元軍人だったが今は退役してニートやってるおじさん、とーちゃんとかーちゃんと、あとは俺の下に4人の弟がいるんだ!」


解説:家族構成は大切です。ラノベ等では親不在の方が話を進めやすいこともあり、いかにして親を物語の舞台から消すかばかりが練られがちですが、家族とはすなわち、キャラの過去に何らかの影響を与える要素であります。

いつの時点まで一緒に暮らしていたのか、いなくなった理由は何か、一緒にいる間はどんな生活だったのか、その全てが読者の考察のたすけともなります。

これこそがキャラに厚みを持たせるということなのです。


ア「なるほど。鷹さんは?」

鷹「一人だ」

ア「一人? ずっと?」

鷹「ああ、一人だ。ずっと」

ア「えーと、ずっとって言っても……まさか木の股から生まれたわけじゃないんだから、親くらいいるでしょう?」

鷹「知らん。親の顔など見たこともない」

ア「ま、いいか、別にそのエピソード、不必要だし。あとで俺にだけ教えてくださいね」


解説:キャラの設定に関するエピソードは、すべて物語に書き込む必要などありません。

むしろそれが必要となるのは「今現在、キャラがどんな選択をするのか」という行動的な部分であり、作者だけが知っておけばいいのです。


ア「では、メグさんの家族構成は……」

メ「はいはいはい! こっちに来てからはね、パパは国の大司祭様で、とーっても偉い人なの。で、おまけに筋肉バカで……」

ア「もういいです。座ってください」

メ「えー、どうして〜」

ア「奇をてらいすぎや」


解説:アザとーは物語の構成、キャラクターの設定段階では必要以上に奇をてらったことはしません。これは、情報の受け取り手である読者が持つ認識の方が、作者が持つ個人的認識よりも優先されるからです。

つまり、読者が消化不良を起こすような設定は使うべからず。

もっとも、これでは人物が平坦になるので、特に主要な人物にはディフォルメをかけます。つまり、一般認識とのズレを敢えて作るのです。

ここの塩梅は個人の手癖や好みもあり、加減を教えるようなことはできませんが、『すべての情報は一般認識が優先』を心がけましょう。

つまり、一般認識をうらぎるならば、まずは一般認識を知らねば裏切りようがない、ということです。


ア「てか、メグたんうるさい」

メ「あら、だって、読者の方に設定をちゃんと知らしめるのが作者のお仕事でしょ♡ だったら、ちゃんと全てを説明してあげなくちゃ♡」

ア「むーうー、大事なことほど言葉で書き込むな、っていうのがあってな……」

メ「あー、だめだめ、そんなの駄作よね。誰も内容をわかってくれない、独りよがりの作品ってことじゃない。ちゃんと全てを書いてあげるのが読者様に対する礼儀♡ 読者思いなのよ。私は」

ア「んーむー、ならば次回、そこをちょっと説明する〜」

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