キャラクター作成集中講座 1
キャラクター構築に必要なのは、現実の人間に対する観察眼である。
人間は紙に貼られたシールのようにペッタリとはしていない。体の厚みがあり、骨があり、肉もある。
性格も然り。ペッタリと一面的な性格の人間など存在しない。
表ではニコニコと明るいのに、家に帰ってきたら不機嫌な人。相手によってコロコロと態度を変える人。善人に見えて腹黒い人……これは全て、本来の性格による選択の結果だ。
なんて、難しい話は置いておいて、要するには人間は裏表があるのが本来。ならばあなたの創作の中を生きる登場人物になぜ、裏を作らないのかということが言いたいだけです。
え?ちゃんと作ってあるって?
やみくもに設定だけ増やしても、それはシールに対する書き込みが増えて豪華になっただけのこと。裏を作ること、そしてそれを文章ではない形で本編に織り込むことこそがキャラクターを描くということなのです。
なのでアザとー、今回のキャラクター講座シリーズのためにオーディションを開きました。
設定としては『ドラゴンスレイヤーがドラゴンとともに洞窟に落ち、いつ食うか食われるかの精神的戦いを繰り広げる話』の主人公を決めるために、現役ドラゴンスレイヤーの方たちに集まってもらったという感じ。
解説を挟みながらゆるゆる連載しますので、お急ぎでない方はどうぞなの。
アザ「本日はこの場にお集まりいただきましてありがとうございます。作品のために皆様の性格等考慮させていただきたく、なので、包み隠さず、なおかついつもの通りに振舞っていただければ……」
マ「いいからさっさと始めようぜ〜、要するに普通にしてろってことだろ、オーケーオーケー、わかったからさあ」
解説:セリフはキャラクターを表す重要なファクターです。
いつ、どのタイミングで、どんな言葉遣いで話をするのか、すべてが読者にキャラクターを想像させる足がかりとなります。
ゆめゆめ『作者の都合による解説』など喋らせないように。
しゃべる言葉は登場人物に選ばせましょう。
アザ「では、それぞれ自己紹介をしていただけますか?」
マ「じゃあ、俺から行かせてもらうぜ、俺はマーチン=マーカス=マーチン=ジュニア、18歳、童貞。なんなら筆下ろししてくれてもいいんだぜ?」
解説:ここで年齢情報が出てきましたね。年齢の設定はもちろん大まかに少年、青年、壮年みたいなくくりでもいいのです。なぜ年齢の設定が必要になるかというと、若者と年寄りは同じ体力ではない、同じトラブルに見舞われたときに同じ振る舞いをしないから。だからファンタジーなどの場合、実際が何千歳であるとかいう数字よりも、「知識は年寄りでありながら体は少年」みたいな、行動の基準としての年齢の方が大事です。
アザ「マーチンさん、座ってください。あと、もう少し静かにしてください」
マ「いいじゃん。だって、選ぶのは主役だろ? だったらこの俺以外いないでしょ」
アザ「いいから少し黙っとけ」
マ「やだよ、じっとしてたら退屈で死んじまわあな」
鷹「(マーチンの首根っこをつかんで、睨む)いいから、黙っとけ」
マ「あ、はい」
鷹「拙者は鷹取 正夫。ゆえに『鷹』と呼ばれている。以上」
アザ「それだけ?」
鷹「うむ」
アザ「ま、いいや、次は……」
メ「はいはいっ!やっぱり私がオオトリよねっ♡ だって、主役だもん。私は」
アザ「ま、まさかお前はっ!」
メ「メグ=アルバトロス、転生経験あり、ウン10歳独身です☆よろぴくりん♡」
アザ「うーわー、こんなところまで押しかけてきやがったよ」
メ「だって、『異界からきたメグ』の連載終わっちゃったから、暇なんだもん。それに、主役なら、メグって決まってるのよ」
アザ「(無視して)こうして、この3人による主役争いが始まるっ! まて、次回っ!」