プロットの作り方
物語の背骨を作ろう
物語とはどんなに長くても、また短くても、全ての飾りを取り払って背骨だけにしてしまうと「誰が、何を、どうした話」なのかということに集約されます。
例として桃太郎なら「桃太郎が鬼を退治した話」、かちかち山なら「うさぎが悪い狸を懲らしめる話」ですね。
だからまず、自分の書きたい話が「誰が、何を、どうする話」なのか決めてしまいましょう。
あとで変更もできることなので、むずかしく考えないで直感的に
誰が:
何を:
どうする:
これを物語のアウトラインとして、いつ、どこで展開される物語なのかを次に考えます。
いきなり細かい設定を作らなくても、現代なのか未来なのか、異世界なのか学園内なのか位の大雑把さでいいでしょう。
ここまでの作業をすれば、あなたの物語がきちんと5W1Hを持ったものになるはずです。
下のテンプレートに当てはめておきましょう。
「(いつ)(どこで)(誰が)(何を)(どうする)」話
次に、『誰が』にあたる部分、つまり主人公の人物像をぼんやりと決めてしまいましょう。
キャラクターに関してはバックグラウンド、つまり物語に直接書きこまないようなささいな性格まで作りこんでおくと、いわゆるところの「キャラクターが勝手に動く」を体感できることと思います。ネットなどを調べればキャラクター表のテンプレートが数多く落ちていますので、そちらを参考にしてみるのがよいでしょう。
しかしそれは痕からいくらでもできる作業、ここで決めなくてはならない主人公の最低条件を下に書き出しておきます
性別:
年齢:
物語にどのように関わってくるのか:
最終目標:
行動の原動力となるもの:
この段階でキャラクターの設定や世界の設定を詳しく作ってしまってもかまいませんが、最低限これだけのものが在れば物語は組み立てることができます。
世間で言うところの「アイディアを煮詰める」作業は、このあと作るプロットと、このとき作った設定とを擦り合わせて、いちばん納得の行く形に落とし込むことなのです。
だからキャラクターの性格や登場人物の数、物語の進行など、何度でも書いては消してを繰り返して、あなたが納得する物語の形を作り上げましょう。
書いたり消したりは面倒ですが、アイディアをより具体的な形にするためにも、必ず文字としてメモっておきましょう。
プロットの作成は、慣れるまではエピソードで考えたほうがやりやすいでしょう。
ここでいうエピソードとは物語のパーツとなるべく発想された『挿話』をさします。
物語におけるエピソードは複雑に木の枝のように入り組んだ構造をしており、これによって前のシーンと後ろのシーンに関連性を持たせることができるのです。
こうしたエピソードを木で例えると幹、つまり話の本筋に沿っていくつも重ねることで一本の木が出来上がる。これが物語です。
ひとつのエピソードを分解したときに現れるものは三つ
エピソードの起点(事件)→事件に対する登場人物の反応→事件に対する結論(解決)
この解決を同一シーン内で行う必要はなく、以降の物語の中に組み込むこともあります。この解決を遅らせる作法の代表例が伏線です。
このコントロールを頭の中だけでやるにはそうとうの経験値を要するため、一度紙に書き起こしてきちんと設計図を組み立てる、これが構成でありプロットと呼ばれるものです。
この段階で、エピソードは決まった形ではなく、着想としてぼんやりと頭の中にあるだけかもしれませんが、これを無理やりにでも起点、反応、結論の形に落とし込んでしまいましょう。
下に五万文字を想定したプロットテンプレートをのせます。
こちらに書き込んでみましょう。
① 主人公の自己紹介になるエピソード:これは主人公に「はじめまして、ぼくの名前は……」とやらせようというのではなく、その主人公がいちばん主人公らしい行動をするエピソードを選ぶ。勇者なら勇者らしく振舞っているシーンを、いじめられっこならいじめられているシーンを、悪人なら悪人らしく、善人なら善人らしく。通常は「とある一日」の形で書かれることが多い。
② エンディングにつながる大きな事件:エンディングが「鬼を退治しました」ならばまずは鬼がいないと始まらない。海賊王になりたいなら海賊王になるために旅だたなければならない。この伏線は当然最後に回収されることとなる
③ ②をうけて始まった物語が第一の壁に突き当たる:多く冒険譚では乗り越えなければ先に進めない大きな壁(小ボス)である。日常の物語ではなんとなく引っ掛かりを残す程度のエピソードである場合が多いが、必ず回収の見込みを立てておくこと。
④ ③を乗りこえた先にある次のステージ。ただしエンディングにさらに近づいたのだと分かるエピソード:バトルモノなら新たな敵を設定する。ここで大事なのは②で選んだ目標に揺らぎがないということを主人公および読者が再認識すること。もしも③の段階で迷いが発生していたならば、この迷いを振り払う事件を投入すること
⑤ 第二の壁:第一の壁よりももっと乗り越えにくい、大きな壁を用意する。主人公は目的に向かって進むのをやめてしまうかもしれない、そうしたらその物語はここで終わらせてもいい
⑥ 壁を乗りこえた先にあるもの:ラスボス戦。日常の話ならもっとも大きな人生の命題が目の前に現れる。それとの戦いは物語の中でもっとも盛り上がるクライマックスとなるはずだ
⑦ 物語全てに対する解答(解放点):もちろんバッドエンドでもいい。大事なのは②で発生した大きな事件に成功か、失敗かの結論がつくということ
⑧ エンディング:おうおうにして後日譚。
この作業中にどこに入れればいいか分からない細かい日常シーンなど思いついたなら、それは積極的にメモって別に取り分けておきましょう。
このプロットで出来上がるものはいわゆる「オオバコ」と呼ばれるものであり、この設計図を元にさらに細かくシーンを組み合わせる「コバコ」を作る作業というものがあります。そのときにパズルのように物語のピースを組み合わせるためには、アイディアはいくらでもあったほうがいいのです。