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秋葉高校はピッチャーを交代してきた。
他の選手より一回りは大きいであろう恵まれた体格をしている。
「かなり大きいな・・・」
井川が開いた口が塞がらないといった顔をしている。
「これは、相手も本気を出してきたな・・・」
沢田が言った。
「いや、最初から本気だろ」
小宮がツッコむ。
「いや、わかっとるわ!」
「沢田、なんでキレてんの?」
明は沢田と小宮のやり取りを横目で見ながら、
「これはヤバイな・・・」
と危機感を感じていた。
「プレイ!」
試合が再開された。
臼田が打席に立つ。
笹川はゆったりとしたモーションで第1球を投げた。
ボールはその大きな体から投げられたとは思えないほど速く、手元で良く伸びてくる。
「ストライク!」
「めちゃくちゃ速い・・・」
明北ベンチは一気に静まりかえった。
「・・・さ、さっきのピッチャーより速いんじゃないか・・・?」
井川が口を開けて言った。
「それに、球のキレもある。相当打てなさそうだな」
楢崎も腕組みしながら言った。
「ストライク!」
臼田はあっという間に追いこまれてしまった。
「いや、追いこまれるの早っ!」
明は思わず叫んだ。
その後、明北高校は三者凡退に終わった。
「あー、イケると思ったんだけどな」
岩崎が肩を落とす。
「また反撃の機会がありますよ」
明は岩崎を元気づける。
そうじゃないと、とてもじゃないけど岩崎は立ち直れそうな感じには見えなかった。
「・・・これはもう1点もやれんかもしれん」
楢崎はそう呟いてマウンドに向かった。
「笹川、ナイスピッチ!」
ベンチに戻ってきた笹川に、中原が声をかける。
「ありがとうございます」
笹川は帽子を脱いで応える。
「・・・この調子でねじ伏せてやるんだ・・・」
中原は不敵な笑みを浮かべた。




