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藤田が塁に出た。
明北ベンチは一気に湧きかえる。
「続け!」
ベンチから大村に激が飛ぶ。
大村はゆっくりバットを振る。
せめて1点は返さなくては。
明はじっと祈っている。
「プレイ!」
大村はバットを短く持った。
第1球。
ボールは内角低めに入ってきた。
大村はバットを振る。
が、バットは空を切る。
「ストライク!」
大村は一息つく。
第2球。
今度は外界高めに外れた。
「ボール!」
大村はまたバットを振る。
「大村さん、かなり緊張しているんじゃないですか?」
明が岩崎に聞く。
「そりゃ緊張しない方がおかしいだろ。逆転できそうなんだから」
岩崎が言った。
「明だって、一打が出れば逆転できるって時に打席がまわってきたら、緊張するだろ?」
「まぁ、それはしますけど・・・」
そうこう言っている内に、大村がバントを決めた。
一死ランナー2塁。
臼田が素振りをする。
「臼田、かなり緊張してるな」
岩崎が言った。
大体そうだろーーー。
明はグラウンドの方をじっと見る。
次のバッターの沢田が素振りをすると、
「タイム!」
秋葉高校がタイムをとった。
「さすがに相手も焦ってきたな」
岩崎が言った。
見れば分かるよーーー。
明はマウンドを見る。
「ここで秋葉高校の守備の変更をお知らせします」
アナウンスが流れる。
「お、ピッチャー交代か?」
岩崎もマウンドを見る。
「ピッチャーの韮崎くんにかわりまして、笹川くんがピッチャーに入ります」
すると、他の選手より一回りは大きい選手が入ってきた。
「デカッ!」
明と岩崎は思わず同時に言ってしまった。




