表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/90

(86)

楢崎は、中原に第2球を投げた。


ボールが少し高めに浮いてしまった。


中原はそれを見逃さず、バットをスイングした。


ボールは快音を響かせて高く舞い上がった。


2塁ランナーはスタートを切った。


このままではまだ点を入れられてしまう。


井川が懸命にボールを追う。ボールは明の所からは見えないが、かなりの飛距離があることは分かる。


井川がグローブを伸ばした。

ボールはそのグローブの先をすり抜け、スタンドに落ちていった。


観客席が一気に歓声に包まれる。


ツーランホームラン。


この回で一気に3点。

勝負を決定づけるには十分すぎるぐらいだった。


ヤバい。

明は気温のせいではないダラダラとした冷や汗をかいた。


今まで様々な相手と戦ってきたが、ここまで強い相手は戦ったことがない。


これまでの相手とは何もかもが違いすぎる。




もしかして、ここまでかーーー。


明の冷や汗は止まらなかった。




「タイム!」


明北ベンチがタイムをとった。チームメイトが一斉にグラウンドに集まる。


ほんの何分かの時間だろう。

しかし、明にとっては長い時間に感じた。


選手達がそれぞれの守備に戻っていく。


楢崎は、深呼吸をした。


ゆっくりマウンドを見る。


そして、ゆったりとしたモーションで第1球を投げる。


「ストライク!」


楢崎は、またそこで息をついた。


息を吹き返したか。


明は胸を撫で下ろした。




「チェンジ!」


やっとチェンジになった。


これからだ。

これからだ。


明は無意識のうちに心の中で繰り返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ