(81)
次の日の朝。
空は雲1つ無く、野球をするにはこれ以上ない野球日和となった。
明達は、早速球場に向かった。
あと2つ。
あと2回勝てば明北は全国大会に出場できる。
そうしたら、美穂にーーー。
「おい、明」
立脇が声をかけてきた。
「うわ、ビックリした!」
明はビックリした様子で立脇の方を見た。
「お、ナイスリアクション」
立脇は笑った。
「ホントに大丈夫なのか?今日勝たないと全てがパァだぞ」
「わかってるよ」
以外とプレッシャーかけてくるな。
明はまた歩き出した。
明達は球場に着いた。
今日の対戦相手の秋葉高校は、先に着いて練習をしていた。
お、先に練習してるのか。
明はグラウンドに目をやった。
ベンチに田村を見つける。
あ、あの人この前のーーー。
明はそう思ったが、すぐにやめた。
「明北高校も来たか」
中原がベンチで田村に話しかける。
「はい」
田村が返事をする。
「俺たちのような特に強豪ではない高校が勝ち上がっていくには、こうしてデータを取って分析していくしかないんだ。そのためにはこのノートが必要なんだよ」
「はい」
「田村がこうしてアイツらの偵察に行ってくれたおかげで、こうして貴重なデータが取れた。おかけで戦いやすくなったよ」
「はい」
「お前、さっきから『はい』しか言わねぇな」
「はい」
「…」
中原はノートに目を通した。
そして、明北高校のベンチに目を向けると、ニヤリと笑った。




