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一時間目は数学だった。明の一番苦手な教科だ。

黒板には先生が公式や図をたくさん書いている。明には到底理解しにくかった。

明は授業を聞くふりをしながら、甲子園に行く方法を考えた。

自分は打撃に優れている訳じゃない。多分そこそこ打てるレベルだろう。守備もそつなくこなしているものの、上手いといえるものではなかった。

まいったな。これでは、チームを引っ張るどころではない。

ーーー上手くなるしかないか。練習をやりまくって、上手くなるしかない。

「おい芹沢、何を考えてる?」

数学の小山先生が明の目の前にいた。

「あ、いや…あの、これはですね…」

「だったらもっと考えてもらおうか。あの問題解いてこい」

小山先生が、数式の書かれた黒板を指差した。

「うわあ…」

明は気が滅入りそうだった。


「明、今週末は地方大会だな」

野球部の部室で長瀬がスパイクの紐を結びながら言った。

「あ〜、そうだな〜」

明は話を合わせた。

地方大会か。俺はまだベンチだろうな。活躍できないか。

明は心の中でそう思った。




「今週末は地方大会が始まる。だからこの1週間は強化メニューを行う」

森先生が野球部員に向けてそう言った。

「一年にとってはこれが最初の大会になる。頑張って先輩達のサポートをするんだぞ」

森先生はさらに続けた。

最初…か。明はふと思った。

「一年は応援だけど、試合には出ないからってチームの一員であることには変わりないんだぞ。気を抜かずしっかり応援するんだぞ」

森先生が釘を指すように言った。

チームの一員…か。明はふっと空を見上げた。

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