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「美穂が好きです。付き合って下さい」


明は、意を決して美穂に告白した。


昨日からずっと考えてきた。


もちろん明はこんな経験は生まれて初めてである。


ましてや小さい頃から一緒にいた相手に向けた告白ならばなおさらである。


一緒にいたからこそ、どうしたらいいのか分からないのだ。


そんな明が夜通し考えに考え抜いた台詞が今の言葉である。


結局このシンプルな言葉に落ち着いた。


美穂は、言葉に詰まっている様子だった。


「あ、あの…」


やっと出た言葉がこれだけだった。




あれ?これは地雷を踏んだか?


この告白には懸念材料がある。


一緒にいるからこそ、あまり恋愛対象に入っていないパターンである。


小さい頃からいると、恋人というより友達という感覚になってしまう。


だから、告白すると断られるパターンが多い。


美穂も同じ感じなのかもしれない。


俺はちょっと余計なことしたかもしれない。


ちょっと反省しつつある時に、


「ご、ごめん。ちょっと…」


美穂が口を開いた。


「あの、明くんがそう思っていたのを初めて知ったから…、なんて言ったらいいか分からないけど…」


やっぱりそうだ。


「今は、ちょっと答えが出せないというか…」


そうか。

やっぱりそうか。


「で、でも俺は本気だから…」


明はなんとかその場を収めようとしたが、うまい言葉が見つからない。


焦れば焦るほど言葉が出てこない。


「もし…」


美穂はそこで口ごもると、


「もし、今の大会で優勝することが出来たら、私の気持ちを話してもいい?」


と明を見た。


「あ、うん、いいよ…」


これが精一杯だった。


これ以上言ってしまうと、墓穴を掘ってしまう感じがした。


「じゃあ、またね」


美穂はそう言うと、校舎の方にかけていった。




なかなか伝えられないものなんだな。

明は足元にある小石を蹴った。

あまり飛ばなかった。


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