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明は学校を後にした。

道を歩いてふと思う。

俺が三振した時、立脇や長瀬、大村はどう思ってたんだろう?

特に長瀬はプロになりたいって言ってたし…

考えていると家に着いた。

「ただいま-」

「お帰りなさ~い」

母の声が響くのと同時に、足音が聞こえた。

「遅かったわね。部活そんなに大変なの?」

「まぁ、俺たち一年は球拾いだけだけどね」

明は冷蔵庫から麦茶を取り出すと、コップに並々と注いだ。

「へぇ、でも最初は球拾いだけでも一生懸命に練習すればレギュラーになれるわよ」

「いつになるかな」

明はコップの中の麦茶を一気に飲み干した。

「じゃ、着替えてこよ」

明はリビングに向かう。妹の光莉が雑誌を読んでいた。

「あ、お兄ちゃんお帰りなさい」

「ただいま」

「ねぇ、野球部の練習ってそんなに大変なの?」

光莉が身を乗り出すようにして聞いた。

「ん~、まぁ俺たちは入ったばっかりだから、球拾いだけだよ。あとはキャッチボールぐらいかな」

「へぇ、まぁ一年生はそんぐらいだよね」

「小学生がわかった振りするな」

明は光莉を殴るふりをした。

「そっちはどうなの?」

「どうって?」

「ほら、お前今年はバドミントンの全国大会あったたろ。あれはどうなったかって聞いてるんだよ」

光莉は少し間を置いて、あぁ、と言った。

「全然ダメだったよ。なんか思うように調子が上がらなくてね。負けちゃった。俊子ちゃんとかぼろぼろ泣いててね。そんなに悔しいの?って聞いたら、悔しいって言ってたよ」

明はそこでハッとした。長瀬もそう思っていたのだろうか。

「俊子ちゃん今まで大会のためにずっと練習頑張ってきたから、すごく悔しかったんだろうね。私だって泣いちゃうもん」

光莉が笑いながら言った。




明は自分の部屋のベットに横たわり、考えていた。

俺が三振しなかったらーー。あの試合で俺が三振しなかったらチームは甲子園に行けたかも知れない。

監督や長瀬は大丈夫だと笑って言っていたが、本当は何を思っていたのか。

もちろん努力はしてきた。練習には毎日かかさず行ったし、家に帰っても素振りを300回ぐらいしてきた。

やれるだけのことはやった。なのに結果が出なかった。

じゃあ、俺がタイムスリップした意味は何だ?

明は寝返りをうった。

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