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「山岡、やめろ!」

周りが止めるのも聞かず、山岡は石田に食ってかかった。

「お前に俺の何がわかる!」

山岡は観客席に聞こえるような大声で怒鳴った。

「俺は、毎日血が滲むような努力をして、やっと江南のエースになったんだ!それを知らないお前が簡単に先発ならよかった、とか言うな!」

石田はただあっけにとられていた。

「や、山岡…、わ、悪かったよ…。お、お前のおかげでここまでこれたんだもんな…。」

石田がやっと絞り出すように声を出した。

と同時に山岡は石田の左頬を殴った。

かなり音がした。

石田はその場でひざまついた。

監督が駆け寄り、

「山岡ァ!なぜ殴ったんだ!」

と山岡を問い詰めた。

「監督、俺は江南のエースとしてずっと頑張ってきたんですよ。それを石田が…」

山岡がしゃべり切るのと同時に監督が言った。

「だからといって殴ってもイイということではないだろう。野球はチームプレーだ。ピッチャーがいくら速い球を投げたって、キャッチャーがいなきゃ三振を取れないし、野手がいなきゃ全ての打球がヒットになってしまう。お前一人じゃあ野球なんてできないんだぞ」

監督の言葉に山岡はハッとして、

「す、すみませんでした…」

と頭を下げた。

「もうイイ。お前はゆっくり休んでいろ」

監督が促すと山岡はベンチに座った。






明はその光景をじっと見ていた。

思い出すのは、3年の夏。

明はレギュラーだったものの、なかなか思うような結果が出せず、後輩にレギュラーの座を明け渡されてしまった。

あの時の光景が明の脳裏に焼きついた。






試合はその後両校ともランナーを出せず、ついに9回裏へ。

5-4。明北高校のリードまま、江南の攻撃。

これさえ守れば勝てるーー。

明は祈るしかなかった。




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