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「じゃあ、三年生は今日で引退だな。お疲れ様」

明北高校の野球部の部室で森先生の声が響く。

「あ、俺たち引退なんだ」

明はふと思った。

「なぁなぁ、慰労会行くよな?」

隣のチームメイトの長瀬忠之が明に耳打ちしてきた。

長瀬は明とは家が隣同士で小学校からの付き合いだ。明が野球を始めたのも長瀬に誘われたからである。

「うん、もちろん行くよ」

明は長瀬に向かって頷いた。

「明くん、一緒に行こう。長瀬くんも一緒に」

長瀬の向かい側の黒田美穂が身を乗り出すように行った。

美穂は明の幼なじみで、ルックスもよく、スタイルもいい、性格もいいというまさにマドンナと言うべき女子だ。おまけに野球部のマネージャーをしている。

「うん、そうしようか」「決まりだね。じゃあ公園でいいよね?」

「うん」

明と長瀬は深く頷いた。




「あ~あ、俺たちはもう引退かぁ。もちっといたかったなぁ」

帰り道、長瀬がため息混じりに呟いた。

「でも、長瀬くんも明くんも頑張ったわよ。例え結果が出なくでも努力は嘘つかないよ」

美穂がにこやかな笑顔で言った。

「でも、俺大事な場面で三振しちゃったし…」

明がうつむき加減で呟いた。

「も~、明くん暗いよ~。男なんだからいつまでもウジウジしない!元気出して!」

美穂が明の背中をポーンと叩いた。明がよろける。

「ちょっと美穂、強すぎ」

「アハハ、ゴメン」

美穂の明るい声が響く。

「じゃあな」

「うん、また後で」

美穂と別れた明と長瀬は、二人並んで歩き出した。

「…なぁ、明」

「何?」

「あんま、気にすんなよ」

「…」

多分長瀬は自分が三振したから責任を感じているんだろう、と明は悟った。

「別に気にしてなんかいないよ。考えすぎ」

「そうか…」

長瀬は納得したが、なぜか腑に落ちない感じだった。

やがて、二人は自宅に着いた。

「じゃ、また後で」

「うん」

二人はそれぞれの家に着いた。

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