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「ごめんなさい…。僕のせいで逆転されて…」
チームが集まるマウンドで川崎はうなだれてこう言った。
「しょうがねぇよ。打たれちまったもんはしょうがない。それよりもここを凌ごうぜ」
北野が促すように言った。
「よし、川崎。どんどん打ち取っていくぞ」
大村が川崎に劇を飛ばす。
「プレイ!」
球審の声が響き渡る。
――頼む。凌いでくれ。
明は手を合わせ祈った。
補欠の明に出来ることと言えばせいぜいこれぐらいだが、少しでも力になればと思いなから祈る。
川崎が大きく息を吐いた。
呼吸を整える。
その後の川崎は落ち着いていた。あっという間に後続を打ち取った。
「川崎!よく持ちこたえたな!偉いぞ!」
大村が川崎の肩を抱く。
「大丈夫だよ。次は4番の藤田からだからさ」
北野が大声で鼓舞するように言った。
藤田は体は小柄なのだが、長打力がある。
確かホームランも何本か打っている。
一体そんな小さな体のどこにパワーがあるのか、明は不思議でならなかった。
藤田が打席に立つ。
藤田は大きく息を吐き、きっとピッチャーを見た。
ベンチにも緊張が走る。
明はただ祈るしかなかった。