プロローグ
ひょんな設定を思いついたのでそれが冷えないうちに文章という形にしてみました。
他の作品の進捗具合から察せるように、更新はひっじょうに遅いです。
思いついた時だけ更新しますというスタンスです、はい…。
神なんて信じていなかった。
そりゃあ、子供の時分には「困ったときには神頼み」と何度か神に拝んだこともある。うん?神に拝むって正しい表現なのか…?まあ、ニュアンスが伝わればいいんだからそれはどうでもいい。とにかく、俺は困ったときに神頼みやらなんやらしておいて、今どきの若い日本人の典型で、神の存在を信じていなかった。
まあな、神頼みしたってその願いがかなうことは殆どと言っていいほどなかったからな。それも今思えば当然か。そんな神に頼んだだけで願ったことがかなうなんて都合のいい存在が実在していたら、人類はとっくに神に依存して堕落三昧に陥っているだろうよ。人間って基本的に楽な方に流されがちだから。
しかし。
しかし、である。
俺は神を自称するモノに遭遇した。
実際のところ、あれは確かに神だろう。
あるいは口に出すのもはばかられる、そんな存在。
あまりに異質。
確実に人ではない。
なにもかもが似ているようで、何もかもが人と違っている。
そんなモノに出会ってしまった。
そして今、俺は異世界にいる。
異世界。
もういちいち説明しなくともその手のファンタジー小説やらをたしなんでいれば理解はたやすいだろうけど、それは地球の、日本とかいう国がある世界とは全く異なる世界のことである。
神は、あのとき始終楽しそうだった。
神の価値観なんて人間の俺が知ったこっちゃないが、その口らしきモノがその喜色によるものだろう、歪にひきつれているのは俺でもわかった。
その神は言った。
「ノミコム代わり、君になにかアゲルよ」と。
脳内に直に、不気味にこだましたその言葉に極度のプレッシャーを感じながらも、俺は言ってやった。つたない発音の異国語で、じつに簡潔に。
「ノーサンキュー」