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3-4

とにかく更新していきます。内容が多少なり変わりますのでご了承を。

朝から晃人は疲れていた。

結局は葵を学校に連れてくることとなってしまった。

「十二時前には戻ってこれると思うから」

「はい、待ってます」

微笑みながら葵はそう言う。

晃人はそんなに堂々としていて欲しくないと言ってやりたかったが、「先生には見つからないようにしておいて」と言って生徒会室から出る。後ろを振り向けば、この高校の制服を着込んだ葵が手を振る。

「朝からごめん」

「まだ感謝されるには早いかな。あの子がここにずっと居て見つからなければいいけどね。そこまでの保証は私にはできないよ」

「それでもいいから」

晃人は横にいる女子生徒に礼をした。

「あら、晃人がそこまでのことを? あの子のことが大事なんだね」

「変なふうに聞こえるんだが?」

「違うの?」

「違う」

「まだ私のことを好きでいてくれるのね」

「それも違う」

晃人はその女子生徒――須賀原桜花を睨んだ。

桜花はそれに対して怖いな、などと思ってないのにそんな顔をする。

「まぁ、制服を着ていれば少しはなんとかなるかな。じゃあ晃人はちゃんと教室に行きなさい」

「桜花は?」

「私は仕事があるから」

そう言って桜花は晃人を押し出していく。

そして葵は桜花が生徒会室の外から微笑むのを見た。

「さて――あなたが探している人のことだけど。晃人では探し出せないわ」

「どういうことですか?」

桜花は仕事があると先ほど話していたはずなのに、なぜ葵に話かけているのかわからないまま、葵は伺った。

「早人は晃人から逃げているから。そして、あなたからも逃げているから。だから会うことはほぼ不可能なの」

「なぜ、そんなことがわかるんですか?」

「そんなことは知らなくていいの」

そう言いながら、桜花は周りのカーテンを閉めながら、生徒会室の奥にある会長椅子に座る。足を組んで、葵をじっと見つめる桜花は微笑みを崩さない。

「逃げている理由だけでも教えておこうかな?」

葵が聞きたがっていることをわかっているらしい。

葵は疑問に思った。

なぜだろうか。全てを読まれているように感じ取れた。

「それはあなたの予想ですか?」

「さぁ、どうかな。でも聞きたいんじゃないの?」

それについては間違っていない。

だから葵は渋々頷く。

「素直なのね。――早人はあなたのような考えを持っていないからよ」

「考え、ですか?」

「それはちゃんと考えてね。私から答えを全て教えるわけにはいかないわ。ヒントをあげるだけ。でもこれだけであなたは答えにたどり着くはずよ」

何が言いたいのか、葵にはわからなかった。

桜花を見れば、ただ微笑んでいるだけ。

怖いほどに微笑んでいるだけだった。

「晃人が戻ってこない限り、ここから出ないようにしてね。カーテンで外からは覗かれることはないと思うから。生徒もこの部屋に近づくことも、入ってくることもないと思うから、安心していいよ」

桜花は立ち上がり、横に置かれたロッカーを開ける。

「何をされているんですか?」

葵は気になり、そう聞くと桜花はにやりと笑い、ロッカーに手を入れる。そしてそこから出されたのは、この高校の男子制服一着であった。

「あなたを匿う以外にも私には仕事が山積みなのよ。生徒から信頼されている私は頼まれることが多くてね」

そして葵の所まで近づき、顔を覗き込む。

「学校外からも仕事を頼まれることもあるのよ」


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