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『コレ』

「何だろう…これ…」


良く通る通学路。二年間近く使用してる道だから当然見慣れた道なのだが…今日は違っていた。


その異変に気付いたのは俺だけなのか。多分そうだろう。誰も『コレ』を見ていない。


「穴…か?何でこんなとこに…つーか有り得ないだろ。」


そう、有り得ない。地面に穴が空いてるだけなら子供のイタズラとかだろう。だけど『コレ』は空中に出来ている。


「……あ、バス…まあ、取り敢えず学校行かねーと。」


時間も時間だ。俺は学校に向かう為バスに乗った。


「(さっきの…何だったんだろ。まあいいや、帰りにまた見てみよう。)」


学校前に到着し、俺はバスを降りた。教室に向かいながらさっきの事を思い出す。


「(穴…何で?つーかどこに繋がってんだ?大体何で皆気付かないんだよ。)」


教室に到着し友達と会話をする。だけど今朝の事は話せない。明らかに有り得ない。嘘つき扱いされるのがオチだ。


今朝の事を考えていた為かあっという間に下校時間になった。そして、またあの場所に来た。やっぱりある。


「俺が寝惚けてた訳じゃ無いのか。何なんだよコレ。」


取り敢えず覗き込む。暗い。


「何も見えない…な。んー…ちょっと怖いけど…」


そう言って手を入れてみ


『やっと見えた奴が来たか』


「……ッ!?」


辺りを見渡すが周りに人はいない。恐る恐る『コレ』の中を見てみる。


「目…?何だよ…これ…」


『ああ…俺と同じ反応だな。俺もそんな事言った。懐かしい懐かしい。』


呆然とする俺。淡々と喋る『コレ』。


『さて、久々に人と話したからな…長くなっちまった。じゃあ、交代な。』


「は?――うわッ!?………え?」


一瞬世界が回った気がした。すると目の前に…俺?


『これからはお前は俺な。大丈夫お前の記憶はあるみたいだ。上手くやるよ。』


「おい…意味わかんねえ…行くなよ!行くな!」


不意に何か情報が頭に入る。―『コレ』のルール。『コレ』が見えた人間が『コレ』の中に体の一部を入れると交代。―


「コレ…って…コレってなんなんだよ!誰か!おい!誰かーッ!」

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