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第4話 ダニエル。

僕は伯爵家嫡男のダニエル。自分で言うのもなんだが、癖のある金髪にクリっとしたつぶらなブルーの瞳。ニコッと僕が笑ってあげると、女の子は頬を染めるね。こんな僕の婚約者になったアルレットは僕にぞっこんだ。まあ、当然、だね。こんな僕には地味過ぎる子だけど。


小さい時から、僕の言うことをよく聞いた。あれが欲しいと言えば買ってきてくれるし、おじいさまに僕のお小遣いの交渉までしてくれる。

ケガをしたと言えば駆けつけてくれるし、心配のあまり泣いて怒ってくれたり。


学院の高等部に行くと、僕がたまたま誘って一緒に出掛けた女の子のことを気にかけて…まあ、やきもち?そんなことが何回もあった。二回は同じ子を誘えなかったところを見ると、アルレットがあの毒舌で蹴散らしたのかな?

「ダニエル様とアルレット様はお似合いですよね?」

その度にそんなことを言われるが、僕には地味過ぎる子だと思う。もっと、こう、華があってもいいよねえ。にこりともしないし。かわいげがない。

黒髪だって地味なのに、三つ編みおさげ。普段着も地味な色目だ。少しは華やかになるだろうと、真っ赤なルビーの指輪を婚約指輪で贈ってやったが、つけているのは見たことがない。そもそも社交に出てこようとしない。困るんだよねえ…うちは歴史あるレリア家だって言うのにねぇ…まあ、いいけど。


だから、アルレットがさっさとアカデミアにいってしまってからは、僕は自由に恋愛を楽しむことができた。もともと僕に気を使っている子なので、結婚する前はのびのびしていいわよってことだと理解した。


まあ、たかが子爵家の娘を、歴史あるレリア伯爵家に娶るんだもの、その位の気づかいは大事。結婚したら、そうそうは自由にできないだろうしね。


僕は舞踏会のたびに違う女の子を誘い、踊り、飲んで…楽しく暮らしていた。

楽しい二年間だった。

アルレットから手紙が来て、博士課程に進むらしい。そのため、あと2年は帰れない?いいんじゃない?


今まで遊んでくれていた女の子たちはみな、お嫁に行ってしまったけど、毎年、デビューしてくる女の子がいるし。ふふん。


「おじいさま?少しお小遣いをいただけませんか?もうすぐ舞踏会なので。」

「え?アルレット嬢が帰って来るのか?」

「…いえ…あの子は後二年は帰らないそうですよ?今回僕がエスコートの約束をしたのは、キャサリンという、男爵家の娘です。僕も毎回同じ服では行けませんしね。仕立て屋でツケにしようとしたら、おじいさまの許可を取ってからもう一度来るように言われましてね。失礼な奴ですよね。」

「……」


そういえば、いつの間にか夕食が一品減った気がするな。

おじいさまも健康を気遣ってなのか、あんなに好きだったワインを飲まなくなったし。今飲んでいるのは水だしね。健康に気を使っているのかな。


あれ?使用人が少し減ったかな?まあ、いいか。


…キャサリンちゃんは今度、僕にコートを誂えてくれるらしい。うん。あの子のドレスと色を合わせて僕の服も作ろうかなあ…


ダニエルは今日も脳内お花畑だった。




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