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第10話 番外編 オパール。

僕とアルレットは、割とすぐに結婚した。

僕の両親は、年齢がいっても女性の話題ひとつない僕を心配していたようで大喜びだったし、アルレットの家は、二つ返事で了解してくれた。


新婚旅行は二人で相談して、隣国に新しく出来た蒸気機関車を乗りに行った。

情報として見るのと、実際に利用してみるのでは随分違うからね。

うちの国でも導入を検討しているところだが、経済効果は計り知れない。

同じくらいリスク管理も重要になって来るだろう。


デートだって、市場調査だったり、新しくできた工場見学だったり……

アルレットも十分楽しんでくれているようで、僕も嬉しい。

…親には呆れられたが…。


僕は王室の顧問に推薦されたため、度々王都に来ることになった。

基本的にはアルレットと一緒だが。


今回は一コマだけ残っていた授業があったので、アルレットに頼んできた。彼女は僕の秘書をしながら、今は准教授を目指している。


王室の帰りに時間があったので、実家の御用達の宝飾店に立ち寄る。

僕らは婚約期間がほとんどなかったから、婚約指輪を渡す前に、結婚指輪だった。


「妻は10月が誕生日なんだけど」

そう告げると、店主がいくつか見繕ってくれた。

「オパールですね」

(え?ルビーじゃないんだ?)


店主がお勧めしてくれた石は、青みがかったもの。ウオーターオパール、と、呼ばれる石らしい。

「この色味ですと、坊ちゃまの瞳の色も映せますからね。」


一見、地味に見える石だが、幾つもの色の輝きを秘めていて、光の当たり方でも、見る向きでも違う輝きを見せてくれる。なんだか、アルレットに良く似合う。そう思った。


「じゃあ、これで揃えてもらえるかな?誕生日まで間に合う?」

「かしこまりました」

そう言って、店主がにっこりと笑う。

「この石はね、持ち主を全肯定してくれる素敵な石言葉をもっているんですよ。」


店を出て、すっかり暗くなってしまった空を見上げる。王都は街が明るいから、星がほとんど見えない。早く帰りたいな…。


アルレットは喜んでくれるかな?


アルレットのきれいな黒髪に、あの石は映えるだろう。


妻のことを考えると、ほんわりと胸のあたりが暖かくなる。









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― 新着の感想 ―
元婚約者の方、消し炭みたいに存在感、いえ存在がなくなってますわねえ。 彼女と彼女の途轍もない大きな存在感に気づいた彼にとってなかったことにして丁度いい位ですわね。
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