とんでもない秘策(追加投資です)
話は張り込み一日目を終えた朝に遡る。
前日の張り込みで何も起こらず、その報告を霧ヶ峰先輩に済ませた後、霧ヶ峰先輩の張り込み場所である豪邸で、俺は重大な事実に気が付いた。
あ、仮に張り込みで俺とラティが権田川を見つけ出すことが出来たとして、どうやってあいつを捕まえるんだっけ......?
霧ヶ峰先輩の方で見つけられたら、透明スキルを使った権田川だとしても先輩のスキルで動きを止めることはできるだろうが、チートスキルを持っていない俺たちポンコツコンビは奴を捕まえる術を持ち合わせていない。
どうしたもんか......。
「どうしたシンヤ?何も起きなかったというのに浮かない顔をして」
無策で権田川を迎え撃とうとしていた情けなさが顔に出ていたのか、霧ヶ峰先輩が心配そうに俺に訊ねてきた。
「いや……その、仮に俺らで権田川を見つけたとして、捕まえる手段が無いなって気づいて」
「確かに、ラティは魔力探知で権田川を見つけられるが、拘束するところまでは難しそうだな」
「そうなんですよねぇ......。奴が透明化を使っている状況だと物理的に拘束するのは難しそうですし」
俺と霧ヶ峰先輩が話していると、タカシが割って入ってきた。
「じゃあよ、落とし穴作ってやれよ」
「は?」
あまりにも突拍子もないアイデアに思わず俺は聞き返す。
「だから、とんでもなくデカい落とし穴を作ってやればいいんだよ!お前らが張り込みしてる貴族の家の住人も家の改造は許可してるんだろ?」
貴族宅の家の改造は許可されていた。張り込みをする前にその家の主に挨拶をしに行ったのだが、権田川確保に前向きで、確保のためなら家を改造しても構わないとまで言われていたが、お前らの方も心の広い貴族だったのか。
「なるほど。タカシにしてはかなり有効なアイデアを出したな」
タカシのアイデアに関心を持ったのは、まさかの霧ヶ峰先輩だった。
「捉えることはできなくても、奴を追って目的の場所まで誘導することはできるんじゃないのか?居場所さえ分かれば不可能ではないだろ?」
なるほど。確かにそうかもしれない。チート能力や相当な力がない俺たちでも捉えられそうな作戦だ。タカシの考えたアイデアを実行に移すのは少し癪に障るが、試してみるだけの価値はありそうだな。
よし、やるなら徹底的にやろう。それが俺らのモットーだからな。
※※※
俺とラティが張り込みを行っている豪邸に戻り、ラティに権田川捕獲作戦の概要を伝えた。想像以上のスケールのデカさにラティの顔は引きつっていたが、渋々乗ってくれた。
ただ、今回の作戦はこれまた莫大な費用が掛かるんだよな。
霧ヶ峰先輩と作戦を考えたから、費用は全部先輩持ちでやってくれるらしいが、また先輩の財布を圧迫することになってしまった......。
先輩、ほんとにすみません......。




