口論勃発(くだらない言い合いです)
霧ヶ峰先輩に再会し、俺はある疑問を先輩にぶつけた。
「そういえば、先輩ってどうやってこっちの世界に来たんですか......?」
そう。俺の記憶では、霧ヶ峰先輩は海外の高校に留学していたんだよな。
「あぁ。それはだな......。留学先で雷に打たれた......」
「はい......?」
想定外の答えに、俺は思わずひっくり返った声で先輩に聞き返してしまう。
「だから、雷に打たれたんだよ」
えぇ......。本当に不慮の事故じゃないか......。俺らが3ケツしてこっちの世界に来たとは言いづらい理由だな。
「え!?エアコン、雷に打たれたのかよ!ほんとについてねーな!!あははは!!」
「おい!だからそのエアコンっていうのやめろ!!」
相変わらずデリカシーのないタカシの発言だが、霧ヶ峰先輩もツッコミどころを間違えている気がする。
「そういうお前はどうしてこの世界にいるんだ!」
「え?えーっと......自転車で三人乗りしてたらこっちの世界に来てた......」
タカシはわざとらしく霧ヶ峰先輩と目を合わせないように、頬を掻きながら答える。
「は!?お前ら、相変わらずアホだな......。ん?三人ということは、あと一人は誰なんだ?」
「ソウタです」
「えぇ!?ソウタもこっちの世界に来ているのか!?日本の宝が......。あいつは日本の将来を背負っていけるほどの天才だったのに......」
「あ!?何だよ!!俺は天才じゃないっていーてーのかよ!?」
「お前は高校にいたときから超のつくバカだっただろ!?定期試験で赤点回避したことあったか!?」
「うぇ......それは......。定期試験で人の技量を測ろうとすんじゃねーよ!」
あれ?なんかこっちで新しい口論が始まっているんだが......。
依頼の受注者が問題を起こしてどうするんだよ。
「えーっと、先輩はこの世界に来てから何をしてたんですか?」
二人の口論を止めるため、すかさず俺は先輩に素朴な疑問をぶつけた。
「あ、あぁ。実はだな、この世界に飛ばされた転移者の行方を追っていたんだ」
「どういうことですか?」
「どこから話せばいいんだろうな。まずは俺が転移したときの話からしようか。俺が雷に打たれた後、女神のような女性と話したんだよ。それで、俺みたいに日本からこの世界に来た人間を監視してほしいと言われたんだ」
あぁ、あの女神か。先輩にどんな頼みごとをしてるんだあいつは......。
「監視ってどういうこと?」
ラティが真剣な目で問いかける。
「俺みたいに能力を与えられた人間が、この世界で問題を起こさないかを見張れってことだ」
先輩は少し声を落として答える。
「……問題って、例えば?」
「力を金儲けに使ったり、争いを煽ったりする連中がいるらしい。女神はそういうのを止めろと言ったんだ」
空気が少しだけ引き締まる。
「ちなみに、先輩が与えられた能力って何だったんですか?」
「……あぁ、それか。俺に与えられたのは、”オーダー”、言葉で事象を定める力だ」
言葉で事象を定める力って、チート過ぎるだろ......。




