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腐れ縁の男子高生3人で異世界行ったら案外楽しかった件  作者: 秋川悠


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報酬ザクザク!(ソウタの目の色が変わります)

 リオンを連れて旧実験施設を後にした俺たちは、リオンの安否を知らせるとともに、報酬を受け取りにギルドへ足を運んだ。


 ギルドの扉を開くと、足早にミレイが駆け寄ってきてねぎらいの言葉を掛けてくれた。


「リオン君!無事だったんですね!はぁ......。心配させないでください!」


「ごめんなさい......」


 ミレイの言葉に、リオンは委縮していた。


「皆さんも無事でよかったです!正直、あの場所から皆さんが無事に帰れるとは思っていませんでした.....」


 え、今回の依頼ってそんなレベルで危険だったのか......。


「えーっと、そんなことよりも報酬をいただきたいのですが」


 ソウタがソワソワしながらミレイに話す。


 こいつは相変わらず、すぐに話を金の方に持っていきたがる。


 リオンはソウタのこういうところを見ても、まだ師匠にしたいと言ってくれるだろうか......。


「あ!そうでしたね!ではお約束通り、二千万ゼルをお支払いいたします!」


 そういってミレイは受付口の裏手に入って報酬を持ってきた。


「こちらが二千万ゼルです!ご確認ください!」


 大金を前に圧倒されるタカシとラティ。そして、手際よく金の枚数を数えるソウタの姿がそこにはあった。


「確認出来ました。問題無さそうですね」


 そういって、ソウタは俺たちの方に振り向き、五百万ゼルずつ手渡してきた。


「うっひょー!こんだけ金が入ったんだ!今夜は豪勢に行こうぜ!」


「ちょっとあんた!そんなこと言ってると、またすぐにお金なくなっちゃうわよ!」


「お前ら......。金が入ったら毎度毎度そんな会話してるよな......」


 二人の会話に呆れていると、受付口の前で俯いているリオンの姿が見えた。


 ……そういえば、俺、この依頼中にリオンとまともに会話してないな。

 

 タカシは「アホ面」、ラティは「おばさん」。じゃあ、俺は?

 

 ここに来るまでに、リオンは俺の事を認識しているのか疑いたくなるレベルで話してないな。


 俺は……空気か?いや、Air?Airはむしろカッコいいかもしれないな。


 そんなくだらないことを考えていると、


『スキル:穏便(Level 2)を発動しました』


 はぁ!?なんで今!?


 ……ってことは、これ、もしかして“人との会話”とか“空気を和ませる場面”で発動するスキルなのか?


 てか、〈Level 2〉って、いつの間に。通知機能とか無いのかよ......。


 まぁ、試してみるしかない。


「リオン、どうした? 無事に帰れてホッとするところだろ。なんでそんな顔してるんだ?」


 俺の問いかけに、リオンはしばらく黙っていたが、やがてぽつりと呟いた。


「……帰りたくない」


 その声は震えていて、さっきまでソウタと夢中で研究を語っていた少年とは別人みたいだった。


 俺はため息をつき、受付の向こうにいるミレイさんへ声をかけた。


「ミレイさん、大変頼みづらいんですけど、こいつ……一晩だけ俺たちの家に泊めてもらえませんか?」


 突然のお願いに、リオンが驚いて顔を上げる。


「え? ……あぁ、そうですね。じゃあリオンくんの親御さんには私から連絡しておきます」


 ミレイさんの返事に、リオンの表情が少しだけ明るくなった。


「良かったな、リオン」


「……どうして?」


「そんな顔されたら、こっちも帰しづらいだろ。それに俺も子どもの頃、学校でやらかしたときに帰りづらくてさ、それ思い出したんだよ。今日はウチで泊まってソウタと好きなだけ研究の話でもしろよ」


 その言葉に、リオンはみるみる笑顔になって「うん!」と力強く頷いた。


※※※


 俺たちは報酬を手にしたあと、リオンを連れて家に戻った。

 

 道中もソウタとリオンは、延々と「魔力効率がどうだ」とか「制御式の安定化がどうだ」とか専門的な話をしている。

 

 夕食の場でもこの流れが続くのはさすがに困るぞ......。


 さっきギルドで“泊まっていいよ”って許可を取ったの、失敗だったかもしれん。 


※※※


 家に着くと、リオンは遠慮なく中へずかずかと入り、すぐさまテーブルの上に紙とペンを広げ始めた。

 

 遠慮のないガキだなコイツ。


「すごい……!やっぱり師匠の家は研究に向いてますね!」


「だから師匠じゃないよ。普通にソウタでいいよ」


 そう言いながらも、ソウタは嬉しそうに隣に腰掛け、二人でノートを挟んで書き込みを始める。


 ただ、厄介なのは、二人の会話の合間でリオンが俺たちに向かって解説をしてくるところだ。


 それもあってか、妙に寝たいと言いづらい雰囲気が作り出されていた。


「なぁシンヤ……。これ、一晩中続くんじゃねぇの?」


「……多分な」


 隅の方で腕を組んでいるタカシは、完全に置いてけぼりの顔をしていた。

 

 ラティはというと、ソファに腰を下ろしながら長いため息をついている。


「ねぇ、もう私たち寝てもいいかしら?この二人、止まらなそうなんだけど......」


「いや、俺に聞かれても困るんだが……」


 ただ、ふとリオンの顔を見ると、真剣な表情で式を書き込んでいたが、その姿は妙に楽しげだった。


 昼間「帰りたくない」と呟いた時の陰りは、もうどこにもない。


 あぁ、やっぱり今日泊めてやって良かったな。


 俺はそう思いながら、二人に「俺は寝る!」と言い放って自室に戻った。


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