書庫を探索(めちゃくちゃデカいです)
再び闇の奥から聞こえてくる「ガサガサ」という音に、俺たちは思わず息を呑んだ。
地下フロアの湿った空気の中で、その音はやけに大きく響いている気がした。
「今の聞こえたよな......?やっぱり聞き間違いじゃないよな」
タカシが声を潜めて俺を見る。さっきまで強がっていたくせに、顔は完全に引きつっている。
「聞き間違いじゃなさそうだね。ちょっと暗いからこれを使おうか」
そう言いながら、ソウタはズボンのポケットから懐中電灯のようなものを取り出し、灯りをつけた。
「え、ソウタ、そんな便利なもの持ってたのかよ......。それなら出し渋らずに早く出しておいてくれよ」
ソウタのタイミングの悪さに俺は思わずツッコミを入れた。
「あぁ、ごめん。持ってきていることを完全に忘れてたよ。これも街の出店で買った雑貨品なんだけど、この道具に魔力を貯めておけば灯りをともせるんだって。ちなみに、最大で五十時間連続で使い続けることが出来るんだって。この世界は日本より便利なものが多いよね」
「丁寧な解説をありがとう。でもそういうのは早めに出してくれよ...」
「うん。今度から気を付けるね」
そんな話をしている最中、再び「ガサガサ」という音がフロアに響いた。
音がしているのは、どうやら地下フロアの奥にある大きな書庫の方からだった。
俺たちは恐る恐るその地下フロアの書庫の方へと足を進めた。
書庫に着くと、俺はその光景に圧倒された。
何百列にも渡って棚が立ち並び、古びた資料や魔導研究の記録が山ほど詰め込まれていた。そのデカさは、名古屋で最も大きい鶴舞中央図書館の大きさを優に超えていた。
その書庫のデカさに圧倒されていると、また奥の方から物音がした。
「ちょ、ちょっと待って!今の……明らかに誰かいる音じゃない!?」
ラティが俺の腕を掴んで小声で叫ぶ。完全に声が裏返ってる。
「幽霊じゃなきゃいいけどな……」
タカシが半笑いで言ったが、笑えているのは口元だけだ。足元はがっつり震えている。
「幽霊なんているわけないよ。それに、幽霊よりも人間の方がよっぽど怖いよ」
ソウタが落ち着いた口調でタカシに言った。
タカシを落ち着かせようとフォローしたつもりだろうが、何か闇を感じるのは気のせいだろうか......。
そんなことを言いつつも、ソウタは何かを気にしているようだった。
「ソウタ、何か気になることでもあるのか?」
「いや、ここに来てから魔力測定器の針が少しだけ動いてるのが気になってね。僕が使ってる魔力式懐中電灯のせいだと思ったんだけど、これだけじゃそんなに針は動かないんだよね」
なるほど。何かいるのは確定らしい。
俺たちは互いに顔を見合わせ、小さく頷き合い、音のする方へ近づく。
棚の間は狭く、ひんやりとした空気が肌にまとわりつく。
古い紙の匂いと湿った埃っぽさが鼻をつき、息をするたびに胸がざらついた。
「おーい……リオン君?いるなら返事しろよ」
俺が小声で呼びかけると、奥の方で「ガタン!」と棚が揺れる音がした。
「うわぁっ!?」
ラティが飛び上がって俺の背中にしがみつく。
タカシは「ビビってんのか?」と強がりつつ、俺の後ろに隠れている。お前、本当に一人で心霊スポット巡りしてたのか?
「ビビりすぎだぞお前……。まあいい、行くぞ......」
懐中電灯を高く掲げながら、一歩一歩、棚の奥へと近づいていく俺たち。
近づいてみると、音が鳴っていた棚の近くに魔方陣がいくつも形作られていた。
そして、その魔方陣の奥を懐中電灯で照らすと......。




