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腐れ縁の男子高生3人で異世界行ったら案外楽しかった件  作者: 秋川悠


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冒険者、家を借りる(火9のドラマにはなりません)

 珍獣の依頼報酬を受け取った俺たちは、ミレイさんから紹介されたギルド直営の不動産屋の前に立っていた。


「ここがミレイさんが言ってた不動産屋か。思った以上にしっかりしてるな」


 タカシが腕を組みながら建物を見上げる。たしかに見た目は普通の不動産屋っぽい。


 建物の外には、日本の不動産屋のように各物件の家賃や間取り、立地条件などの情報が記載されている紙が壁に貼られていた。


「まぁここで色々見てるのも何だし、入ってみようぜ!」


 タカシがノリノリで扉を開ける。


 カランコロン...


 喫茶店のような扉の開閉音とともに、こじんまりとした雰囲気の空間が広がっていた。


 部屋には茶色いテーブルに、黒色の革ソファが置かれており、歴史を感じる。


「いらっしゃい。あんたらがミレイから紹介された冒険者さんかい?」


 出迎えてくれたのは、四十代半ばくらいのしっかりとした服を着た男性だった。声

は低めで落ち着いてるけど、何かクセがありそうな雰囲気を感じるのは気のせいか?


「はい、4LDKくらいの家を探してまして...」


 俺が代表して答えると、男は「ふむ」と頷き、


「あぁ、4LDKの家ね。ちなみに、その4LDKはバージョン1っていう認識で良いかい?」

 と、謎の用語をぶっ込んできた。


 え、バージョン1って何だ...


「バージョン1はバージョン1だよ。とりあえず該当する家がいくつかあるから、内見行ってみるかい?」


 あぁ...なんか嫌な予感がするなおい...


「えーっと...じゃあお願いします...」

 

断ろうと思ったが、まともな家であることを願って内見へと向かった。


※※※


 一件目はギルドから徒歩十分ほどに位置する2階建ての一軒家だった。


「こちらが4LDKバージョン1の物件だ」


 不動産屋のおっさんが得意げに言うけど、相変わらず「バージョン1」の正体が分からん。


「とりあえず、中入らせてもらうか」


 タカシがドアノブに手をかける。


 扉を開けると、ふかふかの玄関マットがお出迎えしてくれ、やたら上品なムードが漂っていた。


 玄関マットがあって靴置き場がないってことは、土足のまま家に入るのか。なんか違和感あるな...


「おぉ、意外と綺麗な作りだな。こっちがリビングか」


 そう言ってタカシが“L”と書かれた扉を開けると、


「うわ!なんだこの部屋...部屋全体がピンク色じゃねーか!それにデカいダブルベッドって...」


「そりゃ、4LDKバージョン1だからな」


 おっさんのセリフが悪びれなさすぎて余計に怖い。


「ちなみに、そのバージョン1のLDKって何の略なんですかね...?」


 俺が恐る恐る聞くと、


「LDKバージョン1は、L:Love Room(恋人専用)、D:Divorce Room(別れる用)、K:Kids Room(将来用)の略だよ。互いに愛人のいる夫婦に人気なんだよ」


 は?なんだその闇深い想定は...


 いやちょっと待てよ...恋人専用と離婚用が共存してるって倫理どこ行った...


「えーっと...他の家に案内してください...」


 冷や汗をかきながらそう頼んだ。


※※※


 二つ目に案内された家は、インドのタージマハル風な佇まいをした家だった。


 見るからに普通じゃなさそうだぞおい...


 玄関の扉を開けると、何か不思議な匂いが部屋に充満していた。


「な、何だよ!この独特の匂いは!何したら家にこんな匂い付けられんだよ!」


 タカシが鼻を押さえて叫ぶ。


「この家はもともと王族に仕えていた料理人の家なんだよ。だから部屋中にあらゆる

食材を保管してたがゆえに、家に匂いがしみ込んじまったんだ」


 おっさんの説明はもっともらしいが、納得はできん...


「えーっと...ちなみにこれのどこかLDKなんですかね...」


 俺が警戒しながら聞くと、


「あぁ、これがLDKバージョン13でな、Lがラッキョウ漬け保管室、“D”がドリアン熟成庫、”K”が香辛料実験室だからLDKだよ」


 バージョン13って...いくつあるんだよ...


 しかも全部クセ強すぎるし...


「この家は料理好きの人が住むことが多いんだよ。嬢ちゃん、あんた料理好きそうだな?どうよ?」


 おっさんがラティを見てニヤリとする。


「えーっと...私料理とか全くできなくて...あぁ!そうそう!出前の料理がこの上なく好きなんですよ!」


 さっきと言ってる事が違うぞ。てか出前の料理が好きって...どういう言い訳してんだよ...


 その後も何軒か回ってみたが、まともな家は一向に見つからない...


 マジでどうなってんだよ...この世界の家は...


「あのー、LDKとかもうどうでもいいんで、まともな家を紹介してもらえませんかね...」


 俺の心が折れかけたそのとき、不動産屋がようやく頷いた。


「LDKじゃなくてもいいのかい?じゃあ次に普通の家を紹介するよ」


 最初からそうしてくれ...


 この世界で二度と『LDK』というワードを口にしないでおこう...


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