二回目の依頼達成です(家も探し始めます)
謎の珍獣の依頼を終えた俺たちは、依頼完了の報告をするためにギルドへ向かっていた。
その帰り道に、こんな会話が繰り広げられていた。
「なぁ、そろそろ家探さね?このまま宿生活だと金も尽きちまうと思うんだよな」
先に口を開いたのはタカシだった。まぁ一理ある。アリステリアの捜索依頼報酬で
小金が入ったといえど、毎日宿屋暮らしだと流石に金が無くなる。
「ソウタ、お前どんな家住みたい?」
タカシが、今度はソウタに話を振る。
「僕は10LDKの家に住みたいかな。とにかく部屋がたくさんある家に住みたい」
ソウタの答えは相変わらずの独特な価値観だった。
「いや、10LDKって...そんなに部屋あって何に使うんだよ」
思わずツッコむタカシ。
「え、使わないよ。とにかく何もない部屋をたくさん作っておきたいんだよね」
お前、その思想はちょっと怖いんだが...ホラー映画かよ...
「ラティはどんな家住みたい?」
俺が話を振ると、ラティは楽しそうに答える。
「私は広いキッチンのある家に住みたいな〜。あと広いお風呂のある家もいいわね」
「え、お前料理しないじゃん。広いキッチンなんてあっても宝の持ち腐れだろ」
タカシがバッサリと突っ込むと、ラティはムッとした顔で言い返してきた。
「何言ってんのあんた!これを機に私は料理を上達させるのよ!」
「ちなみに、得意料理とかあったりするの?」
俺がさらに掘り下げると、ラティは少しだけ恥ずかしそうに答えた。
「パンケーキとか?」
あぁ、なんかギリギリのライン攻めてくるのが余計辛いなコイツ...
「ワタシは、陽だまりの中で食べるチーズが至高だと思うぞ」
のそのそと口を挟んできたのは、哲学珍獣アル・ニャーダ。太陽の角度まで計算してそうな顔をして、真面目に語り出す。
いや、今家の話してるんだよ...
「ちなみにお前はどんな家が理想なんだよ」
タカシが呆れ混じりに問いかけると、アルは少し顎に手を添えて考える素振りを見せた。
「そうだな……猫専用の出入り口が十二ヶ所付いていて、書斎のある家に住みたい」
条件検索しても全然ヒットし無さそうな家挙げてきたなコイツ。
てか、お前本読むのかよ。
「本は読まん。この思考は私の中だけで深められたものだ」
なんかカッコつけたこと言ってるけど、お前の考えは自己完結型なんだな。てか、本読まないなら書斎いらねーだろ。
「なんか色々文句言ってるけどよ、お前はどんな家に住みたいんだよ!」
謎にキレ気味なタカシが俺に問いかけてきた。
「俺はマジで普通の家でいい。各々の部屋がちゃんとあって、リビングもある家がいい」
そう答えると、案の定というか何というか──
「うわーつまんねー。お前それでよく人の理想の家に文句言えたよな」
「そうよ、相変わらずつまんないやつよね、あんたってやつは」
タカシとラティ、両方からの集中砲火。え...なんかめっちゃ言われとるぞ俺...
大喜利やってるなら最初からそういってくれよ...
そんなくだらない会話をしていると、いつの間にかギルドに到着していた。
出迎えてくれたのは、いつものごとく、ギルド受付嬢のミレイだった。
「シンヤさん!お疲れ様です!珍獣の依頼はどうでした...って何ですか!この理解不能な生き物は!!」
目を丸くするミレイさんに、俺はそっと指差す。
「えーっと...コイツが珍獣でした...」
「左様。お主らが珍獣と呼んでいるのはワタシのことだ」
アル・ニャーダ、堂々とした自己紹介。
「しゃ、喋った...」
驚くのは無理ない。もともと喋れないはずだったコイツを話せるような状態にしたのは俺のせいなんだよな...
「はぁ、そうでしたか...ちなみに叫んでいた理由は何でしたか...?」
ミレイさんが業務的に尋ねると、俺は肩をすくめながら答えた。
「本人曰く、自分の存在を証明したかったみたいで...それで叫んでいたらしいです...」
「ちょっと言っている意味が分からないのですが...依頼を達成していただけたのであれば何でもいいです...報酬も用意してありますので、報告書を提出したら受け取ってくださいね」
俺は言われた通りに、ミレイさんに報告書を渡して依頼報酬を受け取った。
ちなみに、今回の依頼の報酬は百万ゼルだった。また小金が増えた...!
「あ、俺たち家を探したいんですけど、近くに良い不動産屋ってあったりします?」
タカシが前のめりで尋ねる。
「あぁ!それなら、ギルド直営の不動産屋をぜひご利用ください!優良物件が揃っていると冒険者の中でも評判が良いんですよ!」
またギルド直営の会社か...このギルド、何でもやってるんだな...
「ちなみに、今すぐ内見とか行けたりします?ある程度条件も決まっているので」
俺が尋ねると、ミレイさんは頷いてくれた。
「大丈夫ですよ!私の方から不動産屋に連絡しておきますね!」
この人ほんとに優秀だな...俺と結婚してくれ...
「じゃあ、内見行くか~」
タカシが鼻歌交じりで歩き出す。さて、この後は一波乱ありそうな予感しかしないんだが
──まあ、いつものことか。




