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腐れ縁の男子高生3人で異世界行ったら案外楽しかった件  作者: 秋川悠


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愚者、再び(ほぼアホの回想シーンです)

 タカシが枕を投げると同時に俺はあることを思い出した。


※※※


 あれは中学三年の修学旅行だった。


 修学旅行は二泊三日で関西圏の名所を巡るもので、一日目は昼に京都、夕方からU〇Jで遊び、そのテーマパークが運営しているホテルに泊まった。


 二日目の昼は奈良で鹿にせんべいを食べさせ、夜は和歌山の旅館で一泊したのだが、事件はその夜に起きた。


 夕食を食べ終えた俺は、昼に奈良公園を歩き回ったせいか疲れていて、部屋の布団で横になっていた。


 そんな中、ある男がこんなことを言い出した。


「なあ、枕投げしようぜ」


 来年高校受験を控えているとは思えないレベルの発言をしたのは、相変わらずアホのタカシだった。


 枕投げは小学校の修学旅行までだろ...


 そんなことを思いつつ俺はスルーしたのだが、相部屋のもう一人の男がタカシの提案に返答した。


「いいね、やるからには全力でやるよ」


 ウォーミングアップをしながら参戦を宣言したのは、相変わらず間の抜けてそうなソウタだった。


「おぉ!そうこなくっちゃな! ……なあ、シンヤ。もちろんお前もやるよな?」


 タカシが俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。


 寝ているふりを決め込んでスルーしようと思ったが、俺が参加しなくても、どうせこいつらは枕投げをやるだろう。


 ……どうせ寝られないなら、ちょっとだけ付き合ってやるか。

 

 俺たちは軽くルールを定めた。


 進め方は、総当たりで予選をして勝ち残った二名が決勝に進み、優勝者は最終日のお土産代を他二人から千円ずつ奢ってもらえるという特典まで設けた。


 特典があるなら、ガチでやるしかないよな。


 予選の結果としては、タカシが二勝、俺が一勝一敗、ソウタが二敗で、決勝は俺とタカシで戦うことになった。

 

 なぜか昔から、こういう勝負になると、いつもこいつと戦ってる気がする...


◇◇◇


 決勝も白熱した戦いが繰り広げられ、試合の残り時間三十秒の段階で、四対四の同点だった。


 昼間歩きまくった疲労がここにきて体に堪える...


「この一投にすべてをかける...!くらえ!俺の奥義!ジェットストリームピロォォー!!」


 タカシも相当体力を削られているのか、最後の力をふり絞るかのように振りかぶって、全力で枕を投げた。


 投げられた枕は、猛烈な回転を伴い俺の顔面めがけて飛んできた。


「危なっ…!」


 流石に身の危険を感じた俺は、即座にしゃがんで枕をかわした。


 すると...


 バシャッッッ......!!!!

 ズドォォォーーーン......!


 何かが破れた音がした数秒後に、軽い何かが倒れる音がした。


 俺は恐る恐る後ろを振り返ると...


 そこには、さっき投げた枕ほどの大きさの穴が空いた障子が倒れていた。


 おい、マジかよ......

 

 その後、隣の部屋からすごい音がしたという生徒の声を聞きつけて様子を見に来た先生に死ぬほど怒られて、反省文五枚ずつ、加えて一か月間の教室掃除をやらされる羽目になった。


 あのとき誓ったはずだった。もう全力で枕投げをやらないって。


※※※


 「くらえ!俺の奥義!ジェットストリームピロォォー!!」


 タカシがあの時みたく、相変わらず訳の分からない技を俺目掛けて投げる。


 これをかわしたら、また何かが壊れる...


 何としてでもキャッチしてやるよ!


 そう思っていたのも束の間、タカシの投げた枕はすごい回転量で俺の顔面に来る直前で左に逸れていく。


 枕の先には壁掛けの姿見が――


 ガッシャァァン!!


 枕が直撃し、鏡は床に落ちた反動で粉々になった。


 床には、無惨に割れたガラスの破片が散乱している。


 ……静まり返る部屋。


 俺たちは無言で、床の破片を拾い集め始めた。


 なにやってんだよ俺たち……


 異世界で何してんだ、マジで。


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