タピオカの女神、失踪する(初依頼受注です)
俺たちは、依頼掲示板の前で無言になっていた。
【捜索依頼:アリステリア嬢の捜索】
報酬:1000万ゼル
条件:ランク不問
それは、タピオカを街にバズらせたあの貴族令嬢が、行方不明になったという衝撃の依頼だった。
「……どうする?」
俺が問いかけると、タカシはもう完全にやる気満々だ。
「どうするも何も、やるしかないだろ!!1000万だぞ!?やる以外の選択肢あるか?」
「やるだけやってみる価値はありそうだね」
ソウタもタカシの意見に同意したみたいだ。
まあ、俺たちのタピオカが売れたきっかけもこの人が作ってくれたようなものだし、恩返しはしておきたい気持ちもあるんだよな。
「アリステリア様、貴族の中でもちょっと変わった人だったけど、街の人には慕われてたし、私も見つけ出したいわ!」
ラティも捜索に前向きみたいだな。
よし、決まりだ。アリステリア様を見つけ出そう。
※※※
「とりあえず、足取りを追うなら目撃情報からだよな」
俺がそう言うと、ラティが頷いた。
「さっきギルドでお酒飲んでたおじさんたちに聞いたんだけど、市場付近のテントで目撃したって情報がいくつかあったのよ。ほら、あんたたちが運搬のバイトをしてたところよ」
なるほど、俺たちの苦い思い出が詰まっている場所だ。
「行ってみよう。もしかしたら何か分かるかもしれない」
俺たちは急いで、運び屋バイトの拠点へ向かった。
ボロいテントの入り口には、相変わらず“未経験者大歓迎!”の張り紙が貼られている。
「すいませーん!どなたかいらっしゃいますかー?」
ラティが声をかけると、奥から現れたのは――
「あっ、君たちか」
あの時の強面おじさんだった。
「アリステリア様のことで、少しお話を伺いたくて…」
「アリステリア様?……ああ、あの貴族のお嬢ちゃんか。数日前に見たような」
「その後、彼女がどこに行ったか分かったりしますか?」
おじさんは腕を組んで少し考え込む。
「どこに行ったかは分からんな...そういえば、帰るときに誰かと揉めてるような声が聞こえたって、別のバイトが言ってたな。裏口の方だったらしいけど……俺は直接は見てないんだよ」
「揉めてた相手って…?」
「“剣みたいなもん”を持ってたって話だな。傭兵か、あるいは……護衛を装った何かかもしれんが」
……物騒だな。
「通報とか、ギルドには?」
「いや、結局“何もなかった”ってことにされちまってな。貴族様相手だと、みんな腫れ物扱いでさ」
なるほどな……。
でも、確かに一歩前進した。
「とにかく、街の中でもう少し聞き込みしてみよう。貴族区の方にも手がかりがあるかもしれない」
俺たちは、新たな手がかりを求めて、再び街へと歩き出した。




