新商品、"夜ラベ"販売です!(増収増益中です)
開店から3週間。
俺たちのタピオカ屋は、気づけば屋台街の“顔”になっていた。
「はい、500杯目入りましたー!」
ソウタの声に、タカシがガッツポーズを決める。
「今日も日収50万ゼル超え確定!!これが…異世界の成り上がりってやつだな!」
「ふふ、私たちの店、もう街で一番人気なんじゃない?」
ラティは客に微笑みを振りまきつつ、手際よく注文をさばいていた。
「なぁ、そろそろ新メニュー出さね?」
タカシが裏からゴソゴソと怪しい箱を持ち出してきた。
「これさ、近くの青果屋で見つけたんだけど、“キラベリー”っていうんだってさ!見た目も映えるし、混ぜたら売れるだろ!」
「「なんかすげぇ光ってるな...本当に食べて大丈夫なのか?」」
俺の不安をよそに、タカシは試作に入った。
キラベリーの果汁を、例の芋から作ったタピオカに混ぜる。
すると、まるで夕暮れ時の空のような、怪しくも美しい紫のグラデーションができあがった。
「お、おお…!なんかイ〇スタ映えしそうな見た目だぞ!イ〇スタは無いけど!!」
「ちょっと味見するわね」
ラティが一口飲んで──
「ん、変わった味だけど…いけるわ。出してみましょ!」
「いいね!名前は…“輝く夜空のラブリーベリーTEA”!!略して“夜ラベ”!!」
相変わらず商品名が長い。“ラブ”を入れないと気が済まないらしい。
こうして、“夜ラベ”は試験的に販売されることになった。
※※※
”夜ラベ”の価格は一杯2000ゼル。
既存商品は一杯1000ゼルなので、かなり強気な価格設定だ。
それにも関わらず、見た目の珍しさから人気を博し、その日は200杯近く売れた。
その日の営業後──
「すげぇよな俺たち!もう屋台じゃなくて店舗出す!?いや、チェーン化!?」
「ちょっと落ち着きなさい」
「「…でも、さすがに順調すぎないか?」」
俺は下処理し終えたキラベリーを見つめながら、なんとなく胸騒ぎを覚えていた。
だが、この“夜ラベ”が、屋台の命運を狂わせることになるとは──このとき誰も、知る由もなかった。




