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第十六話:ゴート村の課題

 俺たちは市場を歩きながら、ゴート村の雰囲気をもう少し詳しく知ろうとしていた。


 先ほどののギルバートとの会話を思い返しながら、俺は改めてこの村が抱える問題について考えていた。

 村の外れで家畜が盗まれ続けているが、冒険者を雇う金がないため、村の警備だけでは対応しきれていない。


 「なあ、アルク」


 隣を歩いていたサムが、ぽつりと呟く。


 「さっきの話、やっぱり何かできねぇかな……?」


 「そうだな……」


 サムの考えは、俺と同じだった。


 「だけど、どうするよ? 盗賊をぶっ飛ばすっつっても、俺らにはそんな力ねぇし」


 「……確かに、俺たちだけじゃどうしようもない」


 俺は少し考えた後、口を開いた。


 「でもな、力で解決できないなら、別の方法を考えればいいんじゃないか?」


 「別の方法?」


 「例えば、盗賊が動きにくくなる環境を作るとか、村の人たちが協力できる仕組みを考えるとか……」


 「うーん……」


 サムは腕を組みながら唸る。


 「でもよ、村のやつらも今は余裕がねぇんだろ? それで協力なんてできるのか?」


 「そこなんだよな……」


 俺は、ギルバートが言っていた**「村には冒険者を雇う余裕がない」**という言葉を思い出した。


 村が盗賊対策にお金を使えないなら、それ以外の方法で解決するしかない。


 「ん?」


 市場の奥の方で、何やら揉めているような声が聞こえてきた。


 「誰かが怒鳴ってるな……」


 サムと顔を見合わせながら、俺たちは声のする方へ向かった。


 市場の片隅で、農家らしき男と、村の商人らしき男が言い争っている。


 「だからよ、そっちの値段じゃ話にならねぇんだよ! これ以上安くしろって言うのか!?」


 「悪いがな、こっちも商売なんだ。最近、村の外の取引相手が減っててな……うちだって儲けが出なきゃやってられねぇんだよ」


 「ふざけるな! こっちは家畜を盗まれてんだぞ! 今までの取引の値段でいいじゃねぇか!」


 盗賊被害が、村の経済にも影響を与えている。


 俺は、ギルバートの言葉を思い出す。


 この村は交易の拠点ではあるが、実際に利益を得ているのは村の商人たちであり、農家や家畜を育てる者たちには、そこまで金が回っていない。

 その上、盗賊によって家畜が奪われているため、出荷できる量も減ってしまっている。


 「つまり……被害が続けば、村そのものが衰退していくってことか」


 盗賊をどうにかしないと、ゴート村の未来は厳しくなるかもしれない。

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