死亡エンドを回避しようとするドタバタ転生ストーリー第一話!
《 これは、呪われ、忌み嫌われた少女と魔王と呼ばれた公爵の物語である。 》
「あぁ……起きちゃった…こんな現実…見たくないのに」
私の前世は、少し運の悪いだけの普通の少女だった。
両親は私が生まれて直ぐ死んだらしく顔は知らない。だけどとても仲が良かったらしい。
そんな私は物心ついたときには孤児院に居た、孤児院を出てからも愛情に恵まれる事はなく唯一の心の支えは自分が書いた小説のみ。
我ながらあれは傑作だったと自負している。
だが………
「死んだらその小説の世界でした…なんて笑え無いよ…!」
完全に私はやらかしたのだ、こんなことになるのなら全員ハピエンで終わらせるべきだった。
だが私が書いた小説は全員が最終的に死んでしまう、何故なら…
― これは私がスランプの時に作った全てのキャラが死亡する別世界線ルートだから! ―
いま思えばあの時の私は正気の沙汰でなかった、魔王公爵なんていう主人公やヒロインを殺すキャラや、呪われ令嬢なんていう世界を混沌の時代へ導く平民上がりの少女を作ってしまったのだから…
そして私の予想があっていれば今私は自分が作った小説
«red rose garden 外伝版 ~ 黒の園 ~»通称〘黒薔薇〙の呪われ令嬢こと…
リリアン・フレア・ブラックローズ
に私はなっている。
赤の薔薇園は魔法が存在しルーナ神を進行しているのだがフレアは火・炎魔法の総称である。
これだけ聞けば勿論火・炎魔法が得意だと思われるだろうがリリアンは火・炎魔法以外を得意とする人間であった。
だが周りの要望に答えなければと無理をし最終的には魔力暴走を起こし国を巻き込んだあと魔人化し死んでしまった。
でも今はただの平民、ただの黒い髪に真っ赤な燃える炎の様な目をしたただのリリアン。それを守るなら
― 貴族に見つからない ―
これが重要。
貴族に見つからなければ私は貴族にならないしフレアなんていう祝福名もブラックローズなんて家名もない。
だから私は家を出るべき。
この家には既に私しか居ない、両親は既に死んでいる。
ならば私がここに居る必要はない。
「そうと決まったら荷造りだよね!早くこの家から出なきゃ!」
例え小説の強制力が敵でも、私は勝って見せる。
だって私はこの物語の作者なんだから!
《 そんな事を思いながらリリアンは家を出た 》