高官
私が、救済の御使いと出会いましたのは、などと夢の中で、私ではない誰かが私の姿で話しをしている。
夢の中の「御使い」は、よくある大天使の姿ではなく、どちらかというと異形の神、デザインは違うけれど、子供の頃見ていた「悪魔男(デ◯◯マン)」のような、その敵のようなオーラと雰囲気を纏っている。
クリスチャンではないのか?
クリスチャン側から見た異教徒なのか?
宣教師が改宗でもしたのだろうか?
その御使いは、ラテン語を話している。
もちろん意味は理解できない。
なのに、ラテン語なんだと、私は確信できる。
やがて、その人あらざる異様な姿は、光を放つ霧のようなオーラに包まれる。
柔らかいレースの様な衣装が裾の方から見え始め、胸の辺りには金やプラチナ、また赤やピンクなどの宝石の飾りが現れる。
もしかすると異形の神の本地はアンドロメダの女神なのだろうか?
あるいは、西洋と東洋に分かれる以前の始源の国家の女王なのか?
尊敬し、憧れたキリストへの信仰は、夢の中では否定されてしまうのだろうか?
私は、怪訝な思いに心を冒される。
不安という闇が部屋いっぱいに充満する。
「それでも、それを救済と呼ぶのですか?」
私は夢の向こうの神に強く尋ねる。
だが神は、時間を置かず⦿(まるちょん)に変わる。
私はそこで、止まる。
目前の宇宙を感じながら。
ただ意識だけが残されて、停止する。




