表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮花結実晶  作者: フジサキリサ
3/10

貝の信仰

静かな夜

文学は友

泳ぎ出す言霊と

依代になれなかった形代たち

深海の底に密かに

生きているけれど

対話することなく

魂の息吹を糧にして

小さな異物を芯にしたら

幾層にも輝きを重ねながら

育む真珠の魂


主の手に採られ

選別により

神の衣装を飾る貴石となればと

祈る


海流を読み覚えて

旅に出る

千年も生きる亀や

人類の守護者になった哺乳の王の鯨と

友になり

交流と神託の使者のイルカや

後ろの正面ポセイドンに

相見える


やがて蜃気の長老に迎えられて

幻の楼閣に仮住まい


改心した海賊の騎士と

土蜘蛛の仙人がやって来るが

蓬莱山と間違えましたと

ほどほどの挨拶をして

霞の露を集めて作った金平糖を土産にと

箱に詰めて持って帰る


海はまた平坦に

真直な水平線だけになり

雪のように溶けて消える乙姫


あの金平糖は

果たして無事に

殿様の口に運ばれて

人間の幸福の役に立ったのだろうかと

必要のない心配で

ぼくはまた海に沈む


深海の太陽

布団の温もり

妹背の寝息

ゆるい朝日が漏れる窓


待っているのは

今日だけの仕事の依頼

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ