9夏休みの宿題
二人とも、苦しそうに顔を歪めている。
きっと、魔王様の……魔王の魔法で呼吸を難しくさせているんだ。
「私の家族に何すん・・・」
叫びかけた。
けれど、本当の家族ではない。
家族でも何でもないし、どうせもうすぐここから離れる予定だったんだし、このまま放っておいてもいいんじゃ………?
私は自分が泣いているのが分かった。
私は気持ちよりも先に体が動き、魔王の体をとがった爪で思いっきりひっかこうとした。
でも、近づこうとすると、ぶっ飛ばされた。
「………ッ!」
二人が縛られていた木に激突した。
痛い!
今度は魔王が私よりはるかに長い爪でひっかこうとした。
私は体が痛すぎて、立ち上がれなかった。
私、死ぬ………。
人にも死神にもなれない……。今度こそ、墓の中で永久に眠り続けるんだ。
その時、莉緒と奈緒が私の前に立ちふさがり、攻撃していた。
「二人とも、縛られてたはずじゃ⁉」
私が驚いていると、奈緒が言った。
「りんお姉ちゃんがこっちに飛んできたでしょ、その時にひもに爪が当たって切れたんだ」
そうなん、だ。
私は最後の力を振り絞って立ち上がり、三人同時に攻撃した。
すると、魔王はチリのように消えた。
やった。やったぁ‼
三人で泣きながら笑った。
途中で気づいた。
翼がないことに。
出そうとしたけど、出ないばかり。
もしかして私、人間になった?
「私、人間になったかも」
二人はほんと?と笑ってくれた。
魔王がいなくなればこの二人の魂も奪わなくていい。
私は泣いて、そのあと、夏休みの宿題をした。
この物語は、私た三人しか知らない。




