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童話

星が流れた

作者: 遥彼方

 星が(なが)れた。


 空を見上げていた女の子は、お願いをしました。


 あの子と仲直りできますように。

 あの子と仲直りできますように。

 あの子と仲直……。


 女の子は、星が(なが)れてしまうまでに、お願いを言えませんでした。

 お願いを聞けなかった星は、仕方(しかた)なく、空に上りました。



 星が(なが)れた。


 空を見上げていたリスは、お願いをしました。


 かくしたどんぐり見つかって。

 かくしたどんぐり見つかって。

 かくしたどんぐり見つかって。


 リスは、(なが)れた星を見てすぐお願いを言えました。

 お願いを聞けた星は、どんぐりの場所(ばしょ)におりると、そっと光りました。



 星が(なが)れた。


 空を見上げていたドラゴンは、お願いをしました。


 お友達ができますように。

 お友達ができますように。

 お友達ができませように。


 ドラゴンは、あと少しのところで、言いまちがえました。

 お願いが分からなくなった星は、あちこち迷いつかれて、ドラゴンのせなかで休みました。



 朝が来た。


 女の子は口をきかないと()めていたあの子と、いつの間にかお話をしていました。けんかの理由(りゆう)は覚えているけれど、ぷんぷんむかむかとしていた気持(きも)ちはどこかへ行ってしまっていました。

 女の子はあの子となかよく手をつないで、森にかけていきました。


 朝が来た。


 リスはどんぐりをうめたはずの場所(ばしょ)をほり(かえ)そうとして、別の場所(ばしょ)がキラリと光ったことに気づきました。うめたのはこっちだったかしらと、光ったところをほってどんぐりを見つけました。

 リスは見つけたどんぐりを、カリカリかじって食べました。


 朝が来た。


 ドラゴンは手をつないで歩く二人の女の子と会いました。目をまんまるくしている女の子たちに、期待きたい不安ふあんがぐるぐるします。

 ドラゴンは何か言おうと大きな口をひらきかけ、とじてしまいました。



 星が(なが)れた。


 ドラゴンのせなかで休んでいた星は、願いました。


 もう一度(いちど)(なが)れたい。

 もう一度(いちど)(なが)れたい。

 もう一度(いちど)(なが)れたい。


 星は明るい光で見えないけれど、空を(なが)れ続けていました。木のえだにぶつかりながら、ドラゴンのせなかから、願いの力で飛び上がりました。

 星は空高くまで上がると、また(なが)れました。


 星が(なが)れた。


 星がぶつかった木のえだから、リスがかくしていたどんぐりが()ちました。ドラゴンがどんぐりを前足で()け止め、()いかけてきたリスがちょこんと()ります。じっと(うご)かないドラゴンの前足の上で、リスがどんぐりをかじると、女の子二人がよく見ようとちかよりました。

 大きさの違う三つの影が、より添います。


 空では、たえず星が(なが)れているのでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 流れ星自身が、流れ星にお願いするというのが 可愛らしくて、切実さが愛おしいです。 ほっこりする素敵な作品でした。
[良い点] とても優しいお話でした。 女の子やリスやドラゴンだけじゃなく、お星さまの願いも叶ったのでした! 素敵! 世界はとっても美しいなあと思いました! 読ませていただきありがとうございました。
[良い点] テンポが良く、そして最後ほっこりできる童話でした。 美しい詩のような文章が素敵です。
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