異世界の私の大事な時間
オレンジ色の夕焼けの中にも紅花畑の中で私と守護霊と二人…一応守護霊かな。私が造り出したであろう不思議な者と一緒に私の世界ではない世界にいた。なりゆきなのか誘導されてこの世界にきたのかはまだはっきりしないが、とにかく紅花畑にいた。
「あの女の人は何しにここに来たんだ?ってか何故私達が?導かれたのか、異空間にはいりこんだのか…。」
学校で感じた殺気がこの世界と共通しているのならば、この世界をすくわねばならぬ。…?なんだ?現代語が分からなくなってないか?疲れているのか、精神的にいっぱいなのか、とにかく私にはやるべき何かがあるはずだと悟った。
「紅様!遅くなりました。申し訳なさそうありませぬ。何か変わったことはございませぬか?」
竹がきた。
「竹!いつきたのだ?この空間はどうなっておるのだ?」……また?私は普通の女子高生なのに。勝手に言葉がでてくる。しかも何時代の言葉なんだか。
どっと疲れた!
自分の意識のなかに他の人間の魂が入り込んでいる。分かっていても納得いかなかった。自分の意識が少しずつ乗っ取られていくのが怖かった。
「紅様?紅様?大丈夫ですか?お体の具合でも悪いのですか?」
「いや、考え事をしておった。すまぬ。」
…(私終わった。)まだ自分の力で意識をコントロールできているが早くここから出ないと!
そこへ紅花をかき分けて遠くにいた女の人がこっちへ向かってきた。
「おい、竹。まずいぞ!帰らねばならぬ。」
「紅様、お気持ちを察するに逃げたいのでは?今逃げてはなりませぬ。」
「何を言う!私がいつ逃げるともうしたのだ!いい加減なことを申すな‼」
「またまたー!紅ちゃん。正直に逃げたいよーって言っちゃえば楽になるのにー」
「おい、梅干し。いや、梅、私がいつ逃げると?」
(全くバカにしちゃってさ!この世界の私も力と感情はだれにも負けないわい!)
とにかく、何か理由があってここにいるのだから、きちんと女の人と話をしなきゃ。
赤ちゃんをおぶりながらゆらゆらとオレンジいろんな空を背に私達のほうへ近ずいて、そして私の目の前にしゃがみこんで私に微笑んだ。
「こんにちは!高校生の紅。」
(……)
私は目の前の女の人の目を見ながら吸い込まれる様な錯覚におちいり、驚きと言うより懐かしく感じていた。
「高校生の紅は挨拶もできねーのかー。困ったもんだなー。」
「えっ?あっ!はい!すみません!こんにちは!」
危ない!見とれてた。本当に吸い込まれそうだった。
(高校生の紅?)私の事を知ってるんだ。知ってるはずないんだけど、知ってるんだからここは受け入れよう。
「紅ちゃーん。いつも的外れなんだからー。毎回素直になれば楽なのにー。」
なんだ?随分だなー。
…しかしここまで来ると夢なのか現実なのか頭が混乱してくると言うよりは、映画を観賞しながら主人公になった気分でワクワクしてる感情になっていた。
「高校生の紅、この世界さ呼ばれたのは紅の力なら薄々感じてはいるだろう。守護神達と共にこの世界にワシが呼んだのだ。」
……「やっぱり婆ちゃんだったのか。最初から何となくだけど、まさか本当に婆ちゃんだったとはおもわなかったよ。ってか婆ちゃんしかし若いから婆ちゃんって言いにくいなー。しかもなしてそんなに肌も綺麗なんだ?」
まー。若いときは皆綺麗なんだろうけど、今の婆ちゃんしか知らない私から
したら若い婆ちゃんはとにかく綺麗に目に写った。
小さい体で全てを良いことも悪いことも受け入れて必死に生きている私の世界の婆ちゃんと目の前にいるこの世界の婆ちゃん、見た目意外は何も変わらなかった。
「ネェ?
婆ちゃん、なしてここの畑に導いたんだ?何か理由があるんでしょ?」
「これ!紅。婆ちゃんは婆ちゃんだけど、この世界では名前で呼べ!分かったな!婆ちゃんではよそ様がおかさしな顔すっぺ。」
「まーたしかにそうだね。んじゃ冬子さん、で。」
むずがゆい。いやー。言いなれない名前なんかで呼んだ事ないもん。