事件1 天文学部
ゲーム用シナリオ3
「鈴原、こっちだ。」
校門の前の集団の中に、孝弘を見つけて、早足で近づく。
「ごめん、遅れた。」
「いや、まだ来てないやつもいるから大丈夫だ。」
天文学部の一大イベントだけに、いつものふざけた様子ではない孝弘が、真顔で辺りを見回した。
「ちょっと雲がかかってるんだよな。」
雲に隠れた月が少しだけ顔を出していた。
「ねえ、鮎川先生、見なかった?」
孝弘が同じ部の女子に話しかけられた。
鮎川先生は、天文学部顧問のイケメン先生だ。
鬼族は筋肉隆々なタイプが多いが、この先生は鬼族でもスリムな方で、人族の女子の人気が高い。
その先生が、学校の玄関を入ったところで背の高い男子と話してるのが見えた。
「鮎川先生なら、天文学部の部長と話してるぜ。」
靴箱の前にいる2人を指差しながら、女子にも聞こえるように言った。
「え、どこだよ?」「え、どこ?」
ハモった2人に、もう一度先生のいる方向を指さす。
「あっ、いたいた。ありがとう。」
女子が離れていった。
「おまえ、よくあんな暗いとこにいるのわかったなあ。」
感心したように孝弘が言う。
「俺は孝弘と違って、目がいいんだよ。」
孝弘の眼鏡を揶揄って、自分の目の縁をトントンと叩きながら言う。
もう一度、先生の方を見たら、先生はいなくなっていた。
「もう十分待ったから、行こうか。」
天文学部の部長が校門で待っていた生徒たちに言って、みんなぞろぞろと学校に入っていく。
「俺たちも行こう」
孝弘に促されて、俺も学校の屋上に向けて、歩き始めた。




