EX.仰ぐ日の下の影
――暗い部屋の中に、無数のパイプが張り巡らされている。
その中心には、赤い液体に満たされた容器があり、――その中から、数十本のケーブルが繋がったヘルメット型のゴーグルを被った女が出てきた。
背は高く、引き締まった身体は鍛え上げられ、けれど機能を欠損している左腕だけがベルトによって胸の下で固定されている。
赤い液体で濡れたことで薄い布地が肌に張り付く。身体のラインがはっきりとわかるほどだが、恥じらうこともなく容器からでた。
「作戦は失敗。だが、成果としては十分だったな」
頭部を包み込んでいたヘルメット型のゴーグルが蒸気を噴出しながら緩み、女は右腕一本で器用に外した。
茶色いアーモンド型の目に、黒く艶かな黒髪。前髪は眉の下で切りそろえられ、後ろ髪は肩ほどのセミロング。
女の名は――竜の魔女アオイ=ホーリーホック。
フルダイブ式の装置を利用し、自身の情報を元に生成した傀儡に意識をインストールして、遠隔で聖グレイトウェルシュ王国に潜入していたが、彼女の計画自体は大きく失敗していた。
けれど、失ったものは外部装置の疑似賢者の石一つ。従えたファブニールは彼女の調教した一騎に過ぎない。今回の情報を精査し、次の行動に活かすために暗い部屋を後にした。




