27.パレットの上はいつも騒がしい
――一方その頃。
【赤】の大コアからみて北側の橋へ回り込むようにして進んでいたカガリ・フェイ組は切り立った崖の前へと到着していた。
「まいったな。この様子じゃだいぶ時間を消費しているぞ」
第2予選が開始されてからほとんどの時間を移動に費やしていたが、未だ戦闘となる気配がない。数度、リリィによる魔弾の照射が頭上を通り過ぎていったため、レベッカ・ムラサキ組が戦闘となっていることは把握している。
しばらく止んでいたリリィの攻撃が、再度通り過ぎた。
「崖の向こう側に飛んでいったということは、押し返したのか。やるじゃないか」
「カガリ、感心しているようだけど、かなり出遅れてるわよ。このままでいいの?」
戦いに参加できていないことをフェイが心配している様子だが、カガリは特に取り留めていない。
「まあいいじゃないか。怖いのは、レベッカたちの眼をすりぬけた場合さ。今の所、その気配は――」
「カガリ様、向こう側を御覧ください」
カガリが指名した追従者・ネクロフィアが指差す先――対岸となっている崖の上に人影が見えた。
「あれは・・・・・・鎧、か? ドレスでない以上、騎士側のだれかだろう」
遠目で対岸の相手が誰かは正確には判別できなかったが、鎧である以上レベッカたちではないとわかり、カガリが動向を思案する。向こうの動きを待つか、こちらから仕掛けるか。
「こちらで待機がよろしいかと、カガリ様。レベッカ様たちが向こう側に移動した可能性がある以上、こちらの領土の防衛は必要です」
「健気だね、ネクロフィア。でも確かに、すり抜けは怖い。こちらの大コアはマグライトの魔法で護っているが、どこかで小コアを潰された後の速攻要因の侵入は阻止しなければ」
「なら、どうするの。ここで待つ?」
「待つのはうちの性に合わないね。フェイとネクロフィアは少し下がっててよ」
カガリの指示で二人が下り、それを確認して――カガリの赤い右眼に魔法陣が浮かぶ。
カガリ=グレンの右眼は、拝炎教団の奇跡を植え付けた人工的なヘテロクロミアである。赤く輝く瞳に浮かんだ魔法陣は、破壊と再生を司る原初の神を呼び出す。
水を司る拝水教団の『彼方の荒神』と同様に、拝炎教団にも崇拝している神がおり、名を『炎獣』といい、炎を象った獣の姿で顕現する。
「――『心象闊歩、火の素の御影の畔、輪廻円環転生具象』――」
「――『我叡智の燈明を灯し者、汝不浄を滅却せし者』――」
「――『双翼三尾の炎鳥と成て、侯位の御言を告げよ』――!」
三段構成の詠唱の終わりに、人の大きさほどの巨大な鳥が出現した。
その姿は、――炎で象られ、大きな翼と長い三本の尾羽が風に揺れる。顕現と同時に対岸へと飛翔し、人影もろとも直線上の木々を燃やし尽くした。
『炎獣』――九つの形態を持つ生物神の化身であり、カガリが今しがた顕現させたものは、唯一飛翔能力を持つ『炎鳥』と呼ばれるもの。
飛び立つと同時に飛翔軌道に燃焼効果をもち、移動に伴い周囲の酸素を奪い去る滅却の神獣であり、対岸にいた【黄】の者たちを巻き込んで広範囲を焼いた。
「・・・・・・一人、逃げました。かなりのやけども確認できたので長くは持たないでしょう。どうしますか、カガリ様。あちらの小コアの破壊の確認ができていませんが」
ネクロフィアが持ち込んだ筒状の遠眼鏡で対岸の様子を確認した結果、二人の焼死体が見えた。
生存している一人は姿から騎士とみられ、武装が破壊され、全身の皮膚は高温によりただれていた。思わぬ奇襲により防御に関する全ての権利を奪われたことで一撃で戦闘不能状態にまで陥ってしまった。
だが、幸か不幸か小コアの破壊だけは免れ、追撃から逃げるようにして木々の影に隠れていった。
「・・・・・・いや、いい。うちらがすべきことは殺戮じゃない。戦うことを強要されているから攻撃はする。けど、逃げる相手の背中を追うのは話が違う。神があの子を見捨てないなら、きっと生き残るさ」
「甘いのね、カガリ。神の力を使っているっていうのに――」
なんて矛盾、と口に仕掛けたフェイが言葉を飲んだ。
カガリ=グレンの人の良さは、第1予選とここ数日行動を共にしてからの様子でわかっている。
勝ち抜くために他の参加者を殺した。その彼女たちのために、一人ひとりの手を取って涙を流していた。
今でも、誰を殺したかはわからなくとも、カガリの苦しそうな表情は胸を打つ。
これが正しいことだとは思わない。けれど、生存戦略を取る以上、カガリの授かった『炎獣』の御業を行使しないことはない。その狭間で揺れ動きながらも、前に進もうとしている。
「さてと、驚異は排除できた。うちらの次はどうしようかな」
防衛か進軍か。
カガリが『炎鳥』を発動した時とほぼ同時刻に、ナターシャが発動した『赤壁』によりレベッカとサラが前線から離れたことは、カガリたちは知り得ない。
「もう少し、様子を見てから進みましょう。崖沿いに進めば、そのうち橋に行き着くはずよ。そこでならリリィの攻撃も視認できるはず。攻撃が続くってことはカバーが必要なはずよ」
「うん。なら移動しよう。いやあ、フェイがパートナーで良かったよ。これで拝炎側なら言うことなしだね」
【黄】
死亡確認
ギャラガ=ブルー=ジレイ
マドマ=バンチョ=バージリー=ギアス
【黄】残り6名
――数分前、【赤】と【青】を繋ぐ橋の手前では。
意識は失って白目をむいているラチェスター=エルドランであるが、アユーニャ=D=フォースが顕現させた『彼方の荒神』を纏い、水の三叉槍を構える。
対するジェノム=フェルト=ペンドラゴンの手には武器はない。先程受けた左脇腹への攻撃でいくつかの肋骨にはヒビが入り、痛みで呼吸が浅くなる。
騎士教団1位でありながら、父に『黒』の騎士をもつジェノムであるが、彼女は決して特別な力は持たない。
恵まれた血筋であろうと、恵まれた家柄であろうと、女性である彼女は騎士としてはやはり半人前だと認識している。
この国において、性別におけるハンディキャップは一部例外を除いて問題視されていない。
年齢も性別も、実力あるものであれば正当に評価される。その答えが他国から『虹の防人』と呼ばれる七人の存在であり、それに対して妬みはあっても贔屓はない。
ジェノム=フェルト=ペンドラゴンという女性は、単純に自己に要求する達成度があまりにも高い。
それは父の存在故か、それとも、騎士教団1位というペンドラゴン家という血統故か。無自覚の圧力により、彼女は努力を怠らない。
自己肯定感が低く承認欲求が高い、というわけではない。求められなくとも、強くならなければならない。誰よりも、高みに登り続けることこそが、自身を維持する糧となる。
だからこそ、与えられた責務はまっとうする。
世迷い言と思っていても、そう決まっているのなら、命を張るに値する。
相手が神の一端であろうとも、彼女の心も足も折れることはない。
「――エアリス!」
ジェノムに名前を叫ばれたエアリス=ロックハートの拳に力が入る。
六臂と三本の三叉槍を持つ『彼方の荒神』と打ち合っていたエアリスの裡で、魔力の色が変わろうとしていた。
四臂と二本の三叉槍までならば、押せずとも押されることはなかったであろう。
エアリスが展開している『禍手腕』は、魔術的な付与を施されたものに対してのカウンターとして使用される。本来ならば、障壁の破壊などに使用し、物理的でない干渉系魔法のための手段であった。
だからこそ、『彼方の荒神』であろうと、彼女の打撃でも破壊することができる。
それにより受ければ必死の攻撃であろうと、彼女の拳打蹴撃は止まらない。
だが、一対一槍多いことがそれを覆す。
わずか。けれど確実に。
エアリスと『彼方の荒神』の距離が縮まり、押し返されていく。致命傷には至らなくとも、紙一重で躱していた槍撃が徐々にエアリスの身体を捉え、いくつもの傷を作っていた。
水で象られた三叉槍に血が混じる。踏みしめる足元に血がこぼれ、白い肌の上を血が汚した。
けれど、エアリス=ロックハートの拳には、先程とは違った何かが練り上げられていく。
物理的なものに対して衝撃を伝播させる――『鉄手腕』。
魔術的なものに対して術式を破壊する――『禍手腕』
そして、彼女が持つ三つ目にして最後の術式。三種類の術式を状況に合わせて展開する。
「――『流々腕』――!」
迫る三叉槍を躱し、懐へと入り込んだ。踏み込んだ足に力が入り、体重を載せた右ストレートが水神の厚い肉体へと接触する。
その衝撃に、驚きの表情とともに動きが鈍ったのは、他ならぬアユーニャ=D=フォースであった。
拝水教団が崇める水神『彼方の荒神』の一端。あくまでも偶像化の権利を譲渡され、彼女の魔力を依り代の実力以上の能力を顕現させていたが、水神であるが故にその力は計り知れない。
今回の戦いに参加した令嬢の中でも、アユーニャのポテンシャルは五本の指に入るほどであり、王立聖家にすら匹敵し、騎士教団であろうと無事では済まない。
その中で、エアリス=ロックハートは北部の辺境地から参加した令嬢であり、第1予選での状況から、拳打を中心とした術式であることを確認し、ある程度の実力は隠しているにしても警戒に値する域ではないと推測していた。
それでも、水の身体を持つ『彼方の荒神』が、拳が接触した瞬間に蒸気を上げて弾け飛んだ。
先程までの打ち合いでなら、『禍手腕』での破壊は一時的な形状変化を強制されていたにすぎなかった。崩された形状はすぐにでも元に戻る。
けれど、今の右ストレートが起こした結果は、不可逆的な形状崩壊を引き起こした。
術の完成度から、詳細はわからなくとも焼付刃のものではないことはアユーニャでも十分理解できる。
けれど、納得なんてできない。これだけの能力を持つ存在が、『彼方の荒神』に対抗できる術式がカガリ=グレン以外にも存在している事実が、――
「な、めてんじゃないわ!!」
アユーニャの左眼の魔法陣が加速する。『彼方の荒神』の顕現は、一度限りのものではない。ラチェスターを触媒にした『アラガミ』も同様に、再度水神を出現させた。
それも、――飛翔する魔弾には撃ち抜くに容易い。
迫る高圧縮の魔力の鏃。先程までナターシャ=マクガフィンに向けられていたリリィの魔弾だが、彼女のいる丘はジェノムたちの戦況も把握できる位置にあった。
あちら側の援護よりも、今はここのほうが優先度が高いと判断したリリィの一射は、新たに出現した『彼方の荒神』を討ち滅ぼし、着弾の衝撃は巨大な土煙となってアユーニャの視界を奪う。
「ちっ――! リリィさん、どこか――」
グサリ、と。刹那――アユーニャの背後から胸を貫通して剣の刃が突き刺さる。
「隙、やっとだしましたね」
アユーニャの背後から、声変わりしたての少年の声がした。鎧姿の少年の手には、ジェノムが持っていたものと同じ型の剣であり、フルフェイスヘルメットのジェノムとは違い、幼さの残る顔立ちをしており、銀色の髪が目立つ。
彼は――ジェノムの弟であるロイ=ヴァン=ペンドラゴン。戦いが始まる前から草陰に隠れて隙を伺い、リリィの攻撃による土煙により警戒が薄れたところを狙っていた。
卑怯とは言わせない。これは名誉を掛けて戦う個人戦ではなく、いかにして勝つかの戦いである以上、ジェノムたちの追従者が初めから見えていなかったことを警戒しなければいけなかった。第2予選前に空中庭園に集まったときにロイの姿は知られてたはず。
だからこそ、姿が見えないならば常に警戒し、いかなる状況でも対応しなければいけない。
心臓を貫かれ、アユーニャの膝が折れた。体内をめぐる血液は、心臓の欠損で行き場を失い、それに伴い魔力炉心も失活するだろう。
後は、アユーニャが持っているであろう小コアを探して破壊するだけだと、ロイが剣を引き抜いたときに、ジェノムが違和感に気付いた。
「ロイ! 離れろ!!」
ジェノムの言葉よりも早くロイも気付く。
と同時に、背を向けていたはずのアユーニャの首が真後ろに振り向き、歪な笑顔とともに身体が弾けた。
「ちっ――!」
アユーニャの身体が散弾のように弾け飛び、近くにいたロイに襲いかかる。ギリギリのタイミングで飛び退いたロイだが、反応が早かったことと急所を護ったことで致命傷とはならずとも全身に被弾する。
「ロイ、無事か!?」
「はい、姉さん・・・・・・。けど、すいません」
「いい。向こうの思量の方が勝っていただけだ。エアリス、あれは何だと思う」
肉体を散らしたアユーニャから逃げ切ったロイがジェノムの傍に戻り、エアリスも同様に近寄った。
「あれは、幻術でしょうね。おそらく、カグヤのものでしょう」
「気付かれたか。あの距離から致命傷を取れなかったことが悔やまれるわ」
土煙の向こう側から、アユーニャの声が響く。
先程までカグヤ公女が立っていた位置よりも後方に、突如現れた靄の中から、カグヤ公女と無傷のアユーニャが現れた。
――同時刻、【黄】の領域中心部。
ココ=アンデルセンの剣戟は、姉であるサラ=ブリリアント=クオランと比べ、速さも重さもない並の騎士の実力であり、決して『強者』とは言えないレベルだった。
踏み込みは軽く、筋力も未だ発展途上。そのココが握る剣が、騎士の中でも圧倒的な防衛力を持つジャンヌ=ジェンヌ=マルタに敵うことはない。
四合の斬りつけに、三度の刺突。足場の悪い中でも、ココは的確にジャンヌを攻め立てた。けれど、ジャンヌの振るうハルバードにより、何度でも戦況は振り出しに戻される。
ジャンヌとて、目の前の敵を討ち取るだけの力量は持ち合わせている。ジャンヌのハルバードとココの剣がまともにぶつかれば、剣の刃はたやすく折れるだろう。如何に研ぎ澄まされた刃であろうと、岩の如き質量を持つハルバードを傷つけることは叶わない。
だからこそ、ノイン=テイル公女とハクア=ザクロ=ドクロティを守りながらでも、本来であるならこの二人の戦いはすぐにでも片がつく。はずだった。
それを覆すのは、――ココが投げ捨てた小コアの存在。
「ッ――!!」
後退したココにジャンヌが詰め寄るも、ジャンヌの小コアが呼応する。小コア同士の反発により、あと一歩というところで弾かれた。ココはそれに気付き、ギリギリの範囲での一撃離脱戦法を取ることでジャンヌからの決定打を凌いでいる。
――ココの後ろの小コアを退かさないとジリ貧ですね・・・・・・。
ジャンヌが奥歯を噛む。あと一歩、いや、半歩でいい。それだけを詰め寄れれば、ココの武装を無力化出来るのに、自軍の小コアによりそれを阻害されている。
ジャンヌたちも、大コアから一定距離離れたときに同色の小コアが反発することには気付いていた。当初、ジャンヌたちはバラライカ=キゼオたちと帯同していたが、小コアの性質を知ったことでやむを得ず別行動を取ることになった。もしここに、バラライカがいれば戦況は変わっていただろう。今はない事実を嘆くより、ジャンヌは目の前の障害をどう打破するかを脳内で整理していた。
「さすがは鉄壁ね、ジャンヌ」
「何を半端な。何を考えているのです、ココ。こんなにも――」
――意味がない戦いをしている。ココとジャンヌには実力差があることを考慮しても、小コアによる妨害があるにしても、ココはまったく本気ではない。攻めきる気がない。何かの邪魔をされないよう、ジャンヌを足止めしている。
「ナターシャ。ワタシにナターシャの増援をさせたくないようでしたね、ココ。何を隠しているのです」
「隠し事ではないわ。攻防が揃うことは絶対にあってはいけない。一点突破にこれ以上の障害はないじゃない。だからこそ、あなたをナターシャには近付けさせない」
だとしても、やはりココは何かを隠している。それを感じ取ったジャンヌではあるが、未だサラの存在は思案の外にいた。
「ジャンヌ! 手を貸します!!」
しびれを切らしたのは、ノイン=テイル公女だった。決して強いとは言えない彼女ではあったが、ココから十分な距離を取り、なおかつジャンヌの『神託聖女』の恩恵が継続している以上、命だけは保証される。その中、数匹の小さな狐の使い魔を召喚し、ココへと強襲する。
ココは一度投げ捨てた小コアの範囲内に戻り、数匹の狐の牙や爪を躱しながら斬り伏せていく。三匹の狐が大きく飛びかかった瞬間、ジャンヌがハルバードの石突をココへと向けた。
一度きりの奇襲。相手が躱せないと判断したときにだけ使用する、ジャンヌの隠し玉。距離があるため、致命傷にはならないだろうが、ココの武器を破損させるだけの材料が揃った。
砲弾のように射出される石突。音よりも早い速度で、1秒に満たない刹那、ココに照準を合わせた石の弾丸が飛来する。ノイン=テイル公女の狐を斬り伏せようとした瞬間、今このタイミングでなら、ココにこの一撃を避けるだけの余裕がない。
――それは、ココ一人だけの場合に絞られる。
「――ようやく追いついたぞ、ココ=アンデルセン」
そこには息を切らせたアリアーナ=グランディーバの姿があった。跳び蹴りのように間に入り、襲来した石突を撃ち落とす。額には大粒の汗が浮かび、白い肌はわずかに赤くなり、体中から蒸気のように魔力がこぼれていた。
そして、ココに振り返ったアリアーナはおもむろにココの顔面を殴りつけた。
「づっ――」
口が切れ、ココが地面に倒れ込む。アリアーナはココの髪を掴み、無理矢理に身体を起こさせた。
「勝手なことをしてくれる。どういうつもりだ、私情で引っ掻き回すなら潰すぞ」
「い、たいわね・・・・・・。いきなり仲間を殴るだなんて」
「黙れ。その仲間をいきなり殺すやつには言われたくない。何を考えている」
「ワタシはワタシの信条がある、口出しされる謂われはないわよ」
「なら、お前の追従者はどこだ。お前が一人ということは、――」
「姉さまの邪魔はさせないわ。これは、クオラン家の問題よ」
「やっぱり・・・・・・。だからジャンヌを足止めしていたのか」
「サラ、サラがいるのですね。ならナターシャは・・・・・・」
今のやり取りでジャンヌがココの思惑を察した。ナターシャとジャンヌを揃えたくない理由は、それだけで成立する。サラの復讐に、やはりジャンヌの存在はこの上ない邪魔となる。歩く鉄壁は、何が何でも止めなければいけない。
「【黄】の小コア、やはり破壊していなかったか。バカが、これでは本末転倒だ」
アリアーナが落ちている【黄】の小コアに手を向ける。小コアの内部が沸騰するかのように急速に温度が上昇して弾け飛んだ。
「立て、ココ。今は敵陣、まずはここを突破する。お前への折檻の続きはその後だ」
ジャンヌへと向き直るアリアーナの裡には、すでに十分なほどの魔力が練り上げられていた。王立聖家4位の看板が、鉄壁の騎士へと向けられる。
「やれやれ、状況はより悪くなってしまいましたね・・・・・・」
ジャンヌがハルバードを構え直し、張り詰めた空気が口火を切る瞬間を待っていた。




