3月3日 鴇色
3月3日
鴇色
ときいろ
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R:244 G:179 B:194
3月3日 鴇色
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その昔、鴇はそれほど珍しい鳥ではなかったらしい。
というより、多すぎて、田畑を踏み荒らすので、「害鳥」扱いの嫌われものだったらしい。
新潟県に伝わる鳥追歌で、スズメやサギと一緒にトキも「一番憎き鳥」とされている。
江戸時代には、駆除の申請を出したという記録も残っている。
しかし、気が付けば、鴇は幻の鳥になっていた。
日本の鴇は絶滅し、中国に残っていた個体を引き継いで繁殖させている。
昔は、渡りもあったのではないかという話だ。
とすれば、群れになって飛んでいたのだろうか?
群れ飛ぶ鴇が見せる翼のピンク色で、さぞかし、美しい光景が見られたのであろう。
それも現在では幻の光景だ。残念なことである。
今、まだ、鴇が普通にいたならば、やっぱり、嫌われていたのかもしれない。
ヒトというのは勝手なものだから。
失われて初めて、その価値を惜しむ。寂しがる。
そして、嫌っていた人達は、何を想うのだろう?
大切な田畑を守るため。おいしい米を一粒でも多く収穫するため。
必死になって追い払ったその人達。
野生の鴇が絶滅したと報じられた時の、複雑な感情を考えると、とても切ない。
ほどほどって大事だと、つくづく思う。
自分も相手も、周りのみんなも、うまく共存するために。
美しいピンク色が、普通にある世界。でも、それ一色に染まるのも違うと思う。
相手を黙らせることが勝ちだとか、自分の立場だけを主張すれば良いだとか。
白か黒か、それしか無いってつまらない。
写真は、トキ。
トキの風切羽根の色。
紫に近い淡いピンク色。
朱鷺色や桃花鳥色と表記することも。古名は鴇羽色。