3月1日 一斤染
3月1日
一斤染
いっこんぞめ
#F5B199
R:245 G:177 B:153
3月1日 一斤染
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その昔、赤色が本当に貴重だった頃、紅花で染めた濃い紅の布は誰もが手にできる物ではなかった。
なにせ、長いこと、紅は同じ重さの金と同等価値として取引されていた。
平安時代では、「許し色」と呼ばれる色が、かろうじて庶民へ引き渡された選択肢であった。
その「許し色」が一斤染。
一斤(約600グラム)の紅花で、絹一疋(2反、約1983平方メートル)を染めたもので、非常に薄い淡いピンク色であった。
この重量基準がそのまま名前となった一斤染。この色より薄い紅花染めならば、誰でも着てよいということになってはいた。そして、それでも、少しでも濃く染めようとする者が跡を絶たなかったという。
憧れの色だったのだ。
写真は、博多織、夏帯。
柔らかい薄いピンク色。
ベニバナの花には、水溶性のサフロールイエローという黄色の成分と非水溶性のカルタミンという紅色の色素が含まれていて、綺麗な紅色に染めるには、黄色の色素を水に溶かして除去するという手間のかかる工程が必要なのです。