2月26日 裏葉色
2月26日
裏葉色
うらばいろ
#BECEBC
R:190 G:206 B:188
2月26日 裏葉色
*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*
風が吹いてきた。
少し強めの風。
私は、去年の秋の光景を思い出していた。
あの日は、やっぱり風が吹いていた。
土手を覆っている葛の葉の緑の中を、その風は渡っていった。
風によって、葛の葉が裏返されると、葉の裏の白い色がまるで銀のように光って見える。
風が吹くたび、葛の葉の緑の海に白緑銀の波が立ち、風の通り道を示すように、渡っていく。
その様子を、私とあなたは、ただ黙って見ていた。
昔の人は、秋風に、飽きて心変わりした恋人の心を感じたらしい。
そして、秋風に吹かれて翻った葛の葉の裏を見て、裏見=恨みと詠んだ。
私も、恨み言の一つも言ってやれば良かったのかも。
今頃になって。
それでも、ようやく、あなたを忘れられそうな気がしてきたの。
貰った手紙はすべて捨てました。
すっきりしたのかもしれません。
ぽっかりと開いてしまった心の穴に、暖かな春風が吹いてきたら、その時、見ることができる光景はどんなものかしら?
写真は、葛の葉。
木の葉や草の葉裏のような渋くくすんだ薄緑色。
風に翻って白い葉裏を見せる葛。そのため、秋風の渡る様子が銀に光って見えるとされ、その風を、「葛の裏風」と呼ぶのです。
本文でも、昨年の秋の光景として書きました。
2月のバースデーカラーということで、他の葉の裏も一応考えてみたのですが……。