8月14日 ミヨゾティ
8月14日
ミヨゾティ
Myosotis
#4CB8E7
R:76 G:184 B:231
8月14日 ミヨゾティ
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「何か弾いてみせてよ。」
揶揄うように言われて、私は困ってしまった。
だって、ピアノなんてもう随分長いこと、触っていないのだ。
「実家から離れた時に、ピアノは置いてきてしまったから、ずっと弾いてないの。」
私は正直に告白した。
「そっか、残念。」
そう言って、彼は自分がピアノの前に座った。
そして、ゆっくり呼吸を整えると、両手を鍵盤において、1曲弾き始めた。
それは、初心者向けの優しい、けれど切なく美しい曲で、私もはるか昔に弾いたことがある曲だった。
「これ1曲しか弾けないんだ。」
演奏し終わった彼は、寂しそうに笑ってみせた。
写真は、雨に濡れたワスレナグサの花。
ワスレナグサの花の薄青色。
フランス語由来の色名です。
ワスレナグサは葉から茎まで軟毛に覆われていることから、ネズミの耳に似ているとされ、そこから「二十日鼠 (myos) +耳 (otis)」となって付けられたとのこと。
本文中に出てくるピアノ曲『勿忘草』。
ポーランドの作曲家ハインリヒ=リヒナーによる小作品です。