7月31日 プルシアンブルー
7月31日
プルシアンブルー
Prussian Blue
#044D78
R:4 G:77 B:120
7月31日 プルシアンブルー
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「ねぇ、なんで、サッカーの日本代表のユニって青色なの? 日本の国旗って赤白じゃん。」
人の部屋にやってきて早々、勝手に、テレビで試合の中継を見ているのは、愛しの彼である。
「ねぇったらぁ~。」
こっちの問いには答えようともせず、夢中で画面の中のボールを目で追っている彼。
なんなの? いったい。
「ちょっと、聴いてる?」
私は、イラっとなって、彼の肩を揺する。
「あぁ、もう、いいところなんだから! ちょっと待ってろよ。」
彼の口から出たのは、それだけだった。
こっちを向け!
私は、心の中で呪文を唱える。
「で、何だって?」
ようやくハーフタイムになったところで、彼が私の方に訊いてくる。
要するに、私の言葉なんて、ちゃんと聴いていなかったわけだ。
「なんで青色なの? って訊いた。」
私は、思いっきり省略して訊いてやった。
「ジャパンブルーだからに決まってるじゃん。」
「なんで、日本が青色なのよ? 国旗に青色なんか入ってないじゃん。」
「……。」
言葉に詰まる彼。
「なんでなんだろうな? でも、日本を象徴するのは青色みたいだぜ。あ、サムライの着てる服が青なんだったかな?」
結局、理由なんてよく分からないのだった。
写真は、葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』。
18世紀初頭にドイツ(当時のプロイセン)で発明された青色無機顔料の暗い青色。
直訳で、プロイセンの青。
別名ベルリン青。さらに、ベロ青、ベロ藍とも呼ばれた。
歌川広重や葛飾北斎の作品に印象的に用いられたことから、広重ブルー、北斎ブルー、ジャパンブルーなどとも呼ばれる。
つまり、ドイツで発見された化学合成による顔料が日本に入って、浮世絵に用いられ、明治以降に、その浮世絵が欧米に知られるようになって、「日本の青」と呼ばれるようになったという……。
もっとも、日本には藍染の青もあったので、そちらと混同された部分もあると思われる。
2019年、産業技術総合研究所などの研究グループが、この顔料としてのプルシアンブルーを利用した脱臭剤を発表。活性炭よりも5~100倍効率が良いとされている。
この脱臭剤が吸着するのはアンモニアだが、単に臭いの問題だけでなく、窒素肥料の増大による環境汚染、増えすぎた窒素酸化物、いわゆるPM2.5の除去の切り札として期待されている。
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サッカー日本代表のユニフォーム、赤と白がベースになっていた時代もありました。
しかし最近では、青ですね。
また、1930年に大日本蹴球協會(現日本サッカー協会)が初めて日本代表選手を編成した時のユニフォームは薄い青色だったそうです。主力メンバーの過半数を東京帝国大学(現東京大学)の学生が占めていたため、東大のシンボルカラー青が使われたというのが有力な説です。